著者
伊藤 まどか 松沼 亮 原納 遥 田崎 潤一 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.171-176, 2023 (Released:2023-06-21)
参考文献数
13

【緒言】ロペラミドのみでは難渋する難治性下痢に対して,オクトレオチドやセロトニン受容体拮抗薬の使用が一般に推奨されている.カルチノイド症候群に伴う難治性下痢に対して,オピオイドスイッチングのみで症状が改善した症例を経験した.【症例】28歳,女性.子宮頸がん術後再発に伴い疼痛,水様便を認めるようになった.ロペラミドを内服しても改善しない難治性下痢および骨転移に伴う右下肢痛のため,症状緩和のため緩和ケア病棟に入院となった.下痢の原因は精査の結果,カルチノイド症候群と診断し,増悪していた疼痛への対応も含めてフェンタニル貼付剤からモルヒネにオピオイドスイッチングを行ったところ,疼痛の軽減と下痢回数の明らかな改善を認め,自宅退院となった.【結論】本症例のようにオピオイド鎮痛薬を必要とする症例においては,難治性下痢に対してモルヒネを選択することで,疼痛と下痢の両方に対応できる可能性がある.
著者
伊藤 まどか 金 吉晴 加茂 登志子 臼井 真利子
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2017-02-07

本研究の目的は、複雑性PTSDに対するSTAIR/NSTの日本における実施可能性、安全性、有効性を単群での前後比較試験にて検討することである。2019年度までに8例の登録を行った。予備試験の症例の治療経過については、学会や学術雑誌にて症例報告を行った。また本課題では、STAIR/NSTの治療マニュアルやマテリアル、複雑性PTSD診断評価ツールの整備も進めてきた。その中でICD-11に基づくPTSD/複雑性PTSDの診断面接(国際トラウマ面接;ITI)の翻訳を行った。また自記式評価尺度(国際トラウマ質問票;ITQ)を翻訳と逆翻訳を経て日本語版を作成し、学術雑誌にて全文公開した。