著者
伊藤 一人
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-16, 2012 (Released:2012-10-03)
参考文献数
40
被引用文献数
2

我が国の前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺がん検診の普及率は低く,現在も多くの臨床的に重要ながんが進行するまで見逃されている.また,前立腺がん死亡数は増加し続けており,2010年は11,600人と推計され,2025年には15,700人に増加すると予測され,最も効果が期待できる対策を早急に講じるべきである. 前立腺がん検診は無作為化比較対照試験で死亡率低下効果が得られることが証明されており,日本泌尿器科学会は前立腺がん検診ガイドラインにおいて,「前立腺がん死亡率を低下させるPSA検診を推奨する」との指針を示した.一方で,検診受診から治療までの過程で不利益を被る場合もあり,検診の受診による利益と不利益を正しく住民に啓発したうえで,受診希望者に対して最適な前立腺がん検診システムを提供することをガイドラインに明記している. 死亡率低下効果が証明されたPSA検診は,日本泌尿器科学会のガイドラインに沿って,日本の主な受診機会である住民検診および人間ドックなどで正しく普及させることで,前立腺がん死亡率の低下が期待できる.
著者
鈴木 孝憲 黒川 公平 岡部 和彦 伊藤 一人 羽鳥 基明 今井 強一 山中 英寿
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.1742-1747, 1991
被引用文献数
2

雄雑種犬の骨盤内血管, 特に前立腺血管と椎骨静脈系との関係を, レントゲン撮影にて観察した.<br>腹大動脈は第6腰椎の高さで外腸骨動脈を左右に分岐し, 第7腰椎の高さで内腸骨動脈を左右に, また正中の位置で正中仙骨動脈を分岐していた. 仙腸関節の中央部で内腸骨動脈より分岐した尿生殖動脈は, 頭側に後膀胱動脈を, 尾側に前立腺動脈を分岐していた. 前立腺動脈は前立腺被膜部で分岐し, 尿道の中心部に向かうように実質内に入り, 網状に分岐分布していた.<br>前立腺静脈は実質内では網状に分布し, 動脈と並走し, 被膜部で合流し, 後膀胱静脈と吻合後尿生殖静脈へ流入していた. 尿生殖静脈は内腸骨動脈へ流入し, 外腸骨静脈と合流後, 総腸骨静脈, 後大静脈へと流入していた.<br>骨盤内静脈と椎骨静脈系との吻合は椎間静脈により行われていた. 椎骨静脈系との交通は, 後大静脈, 総腸骨静脈, 内腸骨静脈および内陰部静脈に観察された.
著者
伊藤 一人
出版者
Japan Society of Ningen Dock
雑誌
人間ドック = Ningen dock : official journal of the Japanese Society of Human Dry Dock (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-16, 2012-06-30
参考文献数
40
被引用文献数
1

我が国の前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺がん検診の普及率は低く,現在も多くの臨床的に重要ながんが進行するまで見逃されている.また,前立腺がん死亡数は増加し続けており,2010年は11,600人と推計され,2025年には15,700人に増加すると予測され,最も効果が期待できる対策を早急に講じるべきである.<br> 前立腺がん検診は無作為化比較対照試験で死亡率低下効果が得られることが証明されており,日本泌尿器科学会は前立腺がん検診ガイドラインにおいて,「前立腺がん死亡率を低下させるPSA検診を推奨する」との指針を示した.一方で,検診受診から治療までの過程で不利益を被る場合もあり,検診の受診による利益と不利益を正しく住民に啓発したうえで,受診希望者に対して最適な前立腺がん検診システムを提供することをガイドラインに明記している.<br> 死亡率低下効果が証明されたPSA検診は,日本泌尿器科学会のガイドラインに沿って,日本の主な受診機会である住民検診および人間ドックなどで正しく普及させることで,前立腺がん死亡率の低下が期待できる.