著者
伊藤 佐知子 神林 崇
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢健常者14名を対象に、ゾルピデム(マイスリー、アステラス社)5mg,塩酸リルマザホン(リスミー、塩野義社)1mg、トリアゾラム(ハルシオン、ファイザー)0.125mgの一回服用における翌日の運動機能と認知機能について、プラセボとの比較試験を行った。その結果、客観的指標に関してはゾルピデム5mgが良好な結果を示し,主観的評価についてはトリアゾラム0.125mgが良好な結果を示していた。これにより、睡眠導入剤の就寝前一回服用における高齢健常者の運動機能と認知機能の変化について、プラセボとの二重盲ランダム比較試験によって(1)半減期においては、超短時間型で、(2)ω1選択性の有る、(3)ノンベンゾジアゼピン系の睡眠薬が高齢者に好適な薬剤である可能性が高いことが示唆された。
著者
神澤 孝夫 伊藤 佐知子 澤田 誠
出版者
(財)脳血管研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ミクログリアは脳内のマクロファージ様細胞として知られ、悪性脳腫瘍においても腫瘍内部および浸潤域に、集蔟している事が確認されているが、その抗腫瘍作用は不明であった。しかし、活性化ミクログリアは悪性脳腫瘍細胞に抗腫瘍効果を発揮し、悪性脳腫瘍細胞に形態的にアポトーシスでなく、第二のプログラム細胞死:オートファジーを伴う細胞死を誘導することが、悪性脳腫瘍細胞に生じるオートファジーをモニターすることによって、判明した。そして、この細胞死はカスパーゼ阻害役で抑制はされなかった。抗腫瘍効果の機序として、ミクログリアが産生するNOが重要で必須であることが分かったが、NO単独では、悪性脳腫瘍細胞にオートファジーは誘導されるもの、細胞死は誘導されなかった。さらなるミクログリア由来の分子を解析したところ、TNF family分子および炎症性サイトカインが重要な役割を果たすことがわかった。TNF-α、CD40、Fas、IL-β、IL-6は、いずれも、単独で、細胞死を誘導することはなく、NO阻害薬がこの細胞死を完全に抑制するのに対して、TNF family分子および炎症性サイトカインの阻害は部分的な抑制のみであった。これらの結果から、悪性脳腫瘍に対するミクログリアの抗腫瘍効果において、NOは必須であるが、細胞死を誘導するには至らず、さらに、TNF family分子および炎症性サイトカインからのシグナルが、相補的に作用することによって、細胞死を制御していると考えられた。