著者
安藤 秀俊 伊藤 和貴 伊藤 和貴
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

植物のバイオマス生産に関する教材開発とその指導プログラムの検討を目的として, (1)教員養成課程の大学生における植物栽培とその生産に関する意識調査, (2)小学校教科書に掲載されている種子発芽の実験の検討, (3)全国第2位の生産量を誇る福岡県におけるイグサの教材化, (4)植物の遺伝教材としてのファストプランツの有効性の検証, (5)バイオマス教材としてサトウキビの利用方法の開発と指導プログラム, の5点について調査, 実験などを行い, 更に授業実践を行ったところ, いくつかの新たな知見と指導プログラムの有効性が確認できた。
著者
伊藤 和貴
出版者
愛媛大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

天然からスクリーニングした3種(563,V1,V2)の木材腐朽菌による2,4,8-トリクロロジベンゾフラン(2,4,8-TCDF)の微生物分解を行った結果,0.25mMの2,4,8-TCDFを添加した場合に30日間の培養で11.9%〜72.8%分解することができた。また,2,4,8-TCDFは培養中,菌体中に取り込まれていたので分解率と菌体への取り込み率を併せて除去率とした。3種の菌によって27〜76%が培養液中から除去された。分解能の最も高かったV2菌からの菌体外粗酵素について部分精製を行った結果,2,4,8-TCDFの分解初期(培養15日以前)にリグニンペルオキシダーゼが関与し,培養後期(培養15日以降)にジオキシゲナーゼが関与していることが示唆された。また,天然からスクリーニングした4種(267,65,E,V2)の木材腐朽菌とPhanerochaete chrysosporium(p.c.)を細胞融合した。0.25mMの2,7-ジクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(2,7-DCDD)を添加した場合,得られた6種の融合菌による30日間の培養で45%〜96%培養液中から除去することができた。得られた6種の中で3種(p.c.×267-1,p.c.×65-1,p.c.×65-2)の融合菌は両親株よりも高い除去率を示した。さらに,汚染土壌中のダイオキシン類の解毒化(バイオレメディエーション)を実施するための基礎的知見を得るために267菌および融合菌(p.c.×267-1)による土壌中の2,7-DCDDの分解についても検討した。1ppmの2,7-DCDDを添加して30日間培養した結果,59〜63%が分解された。これらの結果から,天然からスクリーニングした菌(木材腐朽菌)によってダイオキシン類を分解できることが示唆された。ダイオキシン分解能を有する菌を土壌中に繁殖させてダイオキシン類を分解(バイオレメディエーション)できることも示唆された。今回の2年間の研究によって,天然からスクリーニングした菌によるバイオレメディエーションについて,その有効性,および実現性が示唆された。