- 著者
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中村 雅典
近藤 信太郎
江川 薫
曽我 浩之
八木 秀樹
伊藤 恒敏
- 出版者
- 昭和大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2000
我々は、骨破壊を伴う重症リウマチ性関節炎(RA)患者腸骨骨髄における著しい好中球造血の亢進とその好中球による骨破壊の可能性を示した。また、破骨細胞による骨吸収を強力に抑制するaminobisphosphonate(ABP)をコラーゲン誘導関節炎マウスに投与しても骨破壊が抑倒されないことも見いだしている。そこで、好中球による骨破壊の可能性を詳細に検討する目的で、コラーゲン誘導関節炎マウスにABPを投与した時の破骨細胞によらない骨吸収機構を好中球の動態を中心に検索すると共に顆粒球と骨との共培養による骨破壊についても検索を行った。ABP投与群・非投与群共に骨破壊を伴う関節炎が認められ、ABP非投与群に比してABP投与群では炎症が悪化する傾同にあった。骨破壊部位を観察すると、ABP非投与群では多数の酸性フォスファターゼ(ACP)強陽性の破骨細胞が骨表層に認められるのに対し、ABP投与群では破骨細胞は少数存在するもののACP活性は弱く、また骨表面から遊離していた。骨破壊部位には顆粒球が集積し、超微形態学的に骨表面に集積する好中球のrupture、細胞内顆粒の骨周辺への散在、コラーゲン線維が消失が認められた。好中球と骨との共培養系では、in vivo同様骨基質からのコラーゲン線維の消失が認められ、好中球の持つMMP-2,9やelastaseに対する阻害剤添加実験でコラーゲン線維消失が抑制されることが明らかとなった。以上の結果から、骨破壊に好中球が直接関与することが示された。