著者
島 晴信 大野 康亮 松浦 光洋 松井 義郎 道 健一 江川 薫 滝口 励司
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.155-164, 1998-04-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
23

The purpose of the present study was to clarify the anatomical basis of the cranio-and maxillofacial rehabilitation using implants. In the present study, 30 cadavers from the dissection room were evaluated. In particular measurements of the craniofacial bones, including height, width, and thickness of the cortical bone were performed. The results were as follows:1. Orbital areaIn the lateral and superior orbital rim of the placement site of implant of orbital prosthesis, the maximal thickness of the inner and outer sides was 16.0 mm, and the minimum was 9. 2 mm. The maximal thickness of the width was 11.1 mm and the minimum was 6. 8 mm. The maximal thickness of the cortical bone was 2.5 mm, and the minimum was 2.1 mm.2. Temporal bone1) At the placement site of the implant of an auricular prosthesis, the maximum thickness of the width was 10.4 mm, and the minimum was 2. 8 mm. The maximum thickness of the cortical bone was 3.7 mm, and the minimum was 3.7 mm.2) At the placement site of the bone anchored hearing aid, the thickness of the inner and outer sides was 8.6 mm. Thickness of the cortical bone was 3.0 mm.3. Frontal and nasal boneIn the center of the frontal and nasal bone, the thickness of the inner and outer sides was 19.3 mm. The thickness of the coronal bone was 3.0 mm.4. MaxillaThe thickness of the inner and outer sites at the site 1 of the maxilla (5 mm distal to the center) was 13 mm. The thickness of the width at site 1 was 10. 1 mm. Tne thickness of the cortical bone at site 1 was 1.4 mm.From these results, the anatomical basis on the cranio-and maxillofacial rehabilitation using implants could be clarified.
著者
江川 薫 野中 直子 星野 睦代 高野 真 滝口 励司
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.74-85, 1999-03-31
被引用文献数
1

骨を構築する基質線維は, 圧縮, 牽引, 歪み, 振れなどの応力に対抗するための適合性をもった配列を呈している.骨に加わる応力と骨層板および線維性基質の配列との係わりを検討する目的で, 解剖学実習用男性遺体の脛骨を用いて, 基質線維の配列を高分解能の走査電子顕微鏡で立体的に観察した.緻密骨層板の表層基質線維を観察するための試料は, 実体顕微鏡下で外骨膜の線維層を剥離した.基礎層板とハバース層板の線維性基質を観察するための試料は, 緻密骨の水平断面と垂直断面を作製して, 切断面の研磨を行った.すべての試料はEDTAで脱灰を施し, トリプシン処理後, 導電染色, 上昇アルコール系列による脱水, 液化炭酸ガスによる臨界点乾燥, 白金-パラジウムのイオンスパッタコーティングの後, 電界放射型走査電子顕微鏡で観察した.筋の付着がない脛骨体内側面の外基礎層板の最表層は大部分が骨の長軸方向に配列された基質線維束で構築されていた.脛骨体外側面の中央部の基質線維束も骨の長軸方向に配列されていた.脛骨体外側縁には約500μmの幅で骨間膜が基質線維束に侵入していた.脛骨体近位端外側面の最表層基質は交錯した基質線維束で構築され, 基質線維東間には前脛骨筋および縫工筋の腱が侵入していた.脛骨体前縁では基質線維束の大部分は骨の長軸方向に配列されていた.脛骨体後面の近位骨幹端の最表層は交錯した基質線維束で構成されていた.後面中央部および下部の最表層の基質線維束はほぼ骨の長軸方向に配列されていた.脛骨体の内表面の最表層は大部分が骨の長軸方向に配列された基質線維束で構築されていた.脛骨体の外基礎層板では約5μmの厚さの層板と約3μmの厚さの層板が交互に配列されており, 交互に隣接している層板の基質線維束はやや斜めに交叉していた.ハバース層板を構成する基質線維束はほぼ上下方向に配列された基質線維束からなる厚さ約4μmの層板と, 基質線維束がほぼ同心円状に配列された厚さ約2μmの層板とが交互に配列されていた
著者
中村 雅典 近藤 信太郎 江川 薫 曽我 浩之 八木 秀樹 伊藤 恒敏
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々は、骨破壊を伴う重症リウマチ性関節炎(RA)患者腸骨骨髄における著しい好中球造血の亢進とその好中球による骨破壊の可能性を示した。また、破骨細胞による骨吸収を強力に抑制するaminobisphosphonate(ABP)をコラーゲン誘導関節炎マウスに投与しても骨破壊が抑倒されないことも見いだしている。そこで、好中球による骨破壊の可能性を詳細に検討する目的で、コラーゲン誘導関節炎マウスにABPを投与した時の破骨細胞によらない骨吸収機構を好中球の動態を中心に検索すると共に顆粒球と骨との共培養による骨破壊についても検索を行った。ABP投与群・非投与群共に骨破壊を伴う関節炎が認められ、ABP非投与群に比してABP投与群では炎症が悪化する傾同にあった。骨破壊部位を観察すると、ABP非投与群では多数の酸性フォスファターゼ(ACP)強陽性の破骨細胞が骨表層に認められるのに対し、ABP投与群では破骨細胞は少数存在するもののACP活性は弱く、また骨表面から遊離していた。骨破壊部位には顆粒球が集積し、超微形態学的に骨表面に集積する好中球のrupture、細胞内顆粒の骨周辺への散在、コラーゲン線維が消失が認められた。好中球と骨との共培養系では、in vivo同様骨基質からのコラーゲン線維の消失が認められ、好中球の持つMMP-2,9やelastaseに対する阻害剤添加実験でコラーゲン線維消失が抑制されることが明らかとなった。以上の結果から、骨破壊に好中球が直接関与することが示された。
著者
佐野 恒吉 江川 薫 野中 直子 滝口 励司
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.343-352, 1999-12-30
被引用文献数
1

硬組織の形成部位のカルシウム (Ca) やリン (P) の含有量を定量分析する方法ではエネルギー分散型X線検出器 (EDX) を用いる方法が分析例の多さ, 試料の扱い, そして分析精度の点で現在のところ最も優れた方法である.しかし, 歯科領域の分析ではCaとP濃度は同時に測定されることが多く, EDXの通常の設定では, 硬組織, 特に歯の象牙質における管間及び管周象牙質などのように, 分析したい部位が必ずしもCaやPのX線発生領域よりも広くない場合が多い.本研究では, このEDXが据付られた走査電子顕微鏡S-2500CX (日立) で, 硬組織上にどの程度まで小さな分析領域を取ることができるかを, 加速電圧の変化に伴う試料中のX線発生領域の変動と試料の分析面を傾斜させることにより分析値の変化を観察した.そして, これらの結果を基に, 走査電子顕微鏡 (SEM) の分析仕様の限界の7kVの加速電圧で, ラットの下顎の切歯断面の象牙質の表面をX線検出器に向かって角度27.5°に傾斜させてX線分析領域を最小にして, CaとPを分析できた.最初は, 象牙質の唇側の管間及び管周象牙質でSEMの加速電圧の違いによる分析値の変化を観察するため, 加速電圧が7と10kVそして15kVでCaとPの含有量の分析を行った.この唇側の結果から加速電圧が7kVで最も正確な濃度が得られたが, 10kVのときの値に対して有意な違いがなかった.次に, 加速電圧7kVの唇側の結果に合わせて舌側とその中間の近心側と遠心側の管間及び管周象牙質も同様に分析した.その結果, 管周象牙質のCa及びP濃度に有意差が見られず, エナメル質に関連する唇側の管周象牙質のCa含有量は舌側管周象牙質より高かった.