著者
白土 宏之 伊藤 景子 今須 宏美 大平 陽一 川名 義明
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.185-194, 2020

<p>水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培に適した播種後水管理を明らかにするために,耐倒伏性の強い水稲品種「萌えみのり」を用いて,播種後水管理が苗立ちや収量等に与える影響を検討した.秋田県にある東北農業研究センター大仙研究拠点圃場において,2013〜2017年に水管理処理として,湛水区,湛水後落水区 (7日湛水後5〜7日落水),短期落水区 (播種後7〜8日落水),長期落水区 (播種後12〜13日落水) の4水準を設け,苗立ちや収量等を調べた.苗立率は長期落水区が湛水区と湛水後落水区より多い傾向が見られた.生育や収量,品質は処理間で大きな違いはなかったが,倒伏程度は湛水区が短期落水区より大きかった.2014〜2016年に秋田県内の現地圃場2箇所で,水管理処理として,湛水後落水区 (8日湛水後3〜12日落水) と落水区 (8〜15日落水) の2水準と,対照として鉄コーティング直播区を設け (2014年を除く),苗立ちや収量等を調べた.同じ白化茎長で比較すると,所内試験と同様に落水区が湛水後落水区より苗立率が高い傾向が見られ,生育,倒伏程度,収量,品質は落水区と湛水後落水区に大きな違いは見られなかった.本栽培法は鉄コーティング直播より初期の葉齢が大きく,苗立率や収量等は同程度であった.以上より,本栽培法では播種後12日間程度落水するのがよいと考えられた.また本栽培法は鉄コーティング直播と同程度の実用性が認められた.</p>
著者
岡田 祐一 伊藤 景子 鳥居 由美 今村 太郎 宮ノ下 明大
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.109-115, 2004-09-15 (Released:2019-07-11)
参考文献数
15

七味唐辛子とその原料7種類 (赤唐辛子,黒ごま,ちんぴ,山椒,麻の実,けしの実,青のり) におけるノシメマダラメイガの発育 (1齢幼虫から成虫) を調べた.その結果,麻の実,黒ごま,けしの実,ちんぴでは成虫まで発育が見られ,赤唐辛子,青のり,山椒では全く発育しなかった.これまで本種が七味唐辛子のどの原料を食物としているかは不明であったが,主成分の赤唐辛子では発育せず,黒ごまや麻の実といった種子系原料を利用することが確認された.米糠で発育を見た場合,平均して約40日 (37~54.5日) で羽化しているが,七味唐辛子の原料では,米糠に比べて大部分の個体は2~3週ほど羽化が遅れ,最長では70日以上遅れた個体があった (51~111日).また,羽化率も明らかに低かった.