著者
小見山 章 加藤 正吾 伊藤 栄一 戸松 修
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

比較的若齢の造林地か豪雨等で崩壊すると、広葉樹に較べてヒノキやスギが浅根を示すことがその原因であるといわれることが多い。このことを再検討するために、岐阜県の岐阜大学農学部附属演習林において、48年生のヒノキ造林地でヒノキ主林木とそこに侵入したミズナラの根重の垂直分布を比較した。2本の試料木を選んで、地上部に関する調査を行った後に、深さ60cmまでに存在する根をトレンチ法により採取した。深さあたりの根重密度の垂直分布パターンを求めたところ、指数分布にしたがう減少パターンを示した。2本の試料木間で、深さ方向の根重密度の減少率に有意差は認められなかった。回帰式を積分して個体根重の垂直分布を計算した。地表から30cmまでの深さに含まれる根重の割合は、ミズナラ試料木で89%、ヒノキ試料木で94%となり、試料木間で根の垂直分布に極端な違いは認められなかった。また、傾斜地で、ヒノキ試料木は根を谷側に多く配置していたのに対して、ミズナラ試料木は山側に多く配置するという、根の水平分布上の違いがみられた。また、数種類の樹種の根量は、パイプモデルにしたがうことが確認された。さらに、一般に相対成長関係には樹種差が生じるが、相対成長関係式の作成に用いる変数を吟味することで、樹種差のない統一的な相対成長関係式の構築の可能性があることがわかった。これらの知見から、生物学的な根拠を元に、根の深さについて議論することができる。

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著者
伊藤栄一 編
出版者
関東茶業大会川越協賛会
巻号頁・発行日
1908
著者
林 進 伊藤 栄一 岡田 正樹 塚本 睦 中川 一 野平 照雄 山口 清 横井 秀一
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.9-26, 1992-12-25
被引用文献数
1

国指定天然記念物「臥龍桜」は,岐阜県宮村にある推定樹齢一千年の,淡墨桜に次ぐ県下第二位の老大樹である。その姿には,一千年という時間の厳しさ,またそれを生き技いてきた樹自身の生命力の強さが表されている。しかし,近年腐朽が進み樹勢維特上不安が持たれている。このため早急に何らかの対策を講じなければならない。樹木保護に当たっては総合的な対策が必要であるが,現在そのための調査方法や,対策技術が未確立な状況にある。そこでそれらの確立に向けて基礎調査研究を行った。調査は,現状を把握するため,桜本体の形状,腐朽部,成長状況,葉・花・根の様子,病虫害について行った。調査の結果から,臥龍桜の樹勢は旺盛である点,しかし,腐朽が強度に進行している部分もありそれらに対しての防腐対策,さらには,樹形保存のための外科手術など,多くの保護対策を講じる必要がある点などが考えられる。これらの保護対策は,それぞれ個別の対策ではなく,総合的に実施されること必要である。そのため,臥龍桜の保護管理サポートシステムを確立すること,モニタリングを長く継続して行うことが必要となる。以上のことから体系的樹木医学の確立へのステップとなり得る研究として報告する。