著者
薛 献宇 神崎 正美 伊藤 英司
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では水を含む重要なマントル鉱物並びに関連化合物の構造(水の含有量・存在状態、カチオン(Si,Al,Mg等)配置の秩序性、欠陥構造など)を高度な多核種・多次元固体NMR分光法により解明した。また複数の新しい高圧相を発見し、その結晶構造を決定した。これらの情報は地球内部鉱物の物性並びに地球のダイナミックス・進化をモデリングするために必要不可欠な基礎データとなる。
著者
村上 英樹 木股 三善 下田 右 伊藤 英司 佐々木 聡
出版者
日本岩石鉱物鉱床学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.491-509, 1992-12-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
37
被引用文献数
2 8

合成された純粋な灰長石,それぞれMgO, SiO2に富んだ灰長石を, EPMAと四軸自動X線回折装置を用いて化学組成と格子定数の測定を行い,三宅島産灰長石との比較を行った。複合イオン置換に基づく検討から,天然及び合成の灰長石は, MgをCaMgSi3O8, 過剰のSiは ?? Si4O8端成分として,固溶する可能性が指摘された。さらにMgに対するこの端成分を確認するため, EPMAによるMgの化学シフトを解析した。その結果,合成灰長石に固溶されるMgは,オケルマナイト(Ca2MgSi2O7) 中のMgと同じ四配位席を占有することが示唆された。また, X線単結晶回折法からは, Mgの固溶量が増加するに従って,単位格子の体積が増加する傾向が明らかになった。以上のことから灰長石におけるMgの固溶は,雲母,角閃石,輝石に認められる通常のTschermak置換, Mg+Si ?? ;2Al, とは異なり,四配位席だけでのTschermak置換が,メリライトと同様に灰長石においても成立することを明示している。