著者
成瀬 敏郎 小野 有五 平川 一臣 岡下 松生 池谷 元伺
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.15-27, 1997
参考文献数
30
被引用文献数
14

MIS 2における東アジアの風成塵供給源と卓越風を復元する目的で,中国,韓国,日本の計26地域から黄土,土壌,古土壌,泥炭を採取し,これらの堆積層中の微細石英 (〓20μm) の酸素空格子信号強度を測定した.タクラマカンの砂漠レスやツアイダムのワジ堆積物は6.2~8.2, 黄土は5.8~8.3, 韓国の土壌は6.0~7.7であり,黄土や韓国土壌が中国の乾燥地域やチベット高原起源の風成塵の影響を強く受けたことを示している.日本各地の土壌・泥炭の微細石英はMIS 2で4.5~12.7であり,そのうち5.8~12,7の値を示す微細石英が遠隔地から飛来した広域風成塵起源,数値の低いものは大陸棚などから吹き上げられた風成塵と推測された.日本列島のうち北部日本地域は>10で東アジア北部から北西季節風によって,中央-西南日本地域は黄土と同じ5.8~8.7で中国の乾燥地域やチベット高原から偏西風によって,与那国島は9.7で中国南部などからそれぞれ飛来した可能性が指摘された.
著者
寺本 和彦 池谷 元伺
雑誌
大会講演予講集
巻号頁・発行日
vol.73, 1998-05
参考文献数
3
著者
池谷 元伺
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.87-93, 1986 (Released:2008-03-27)
参考文献数
25
著者
池谷 元伺 古沢 昌宏 石井 博 三木 俊克
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.1473-1480, 1989-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
17

試材料のミクロな領域での不射電子濃度を電子スピン共鳴 (RSR) で検出し,その空間分布を画像化するのが ESR 顕微鏡である.従来の断層画像計測を行う磁気共鳴画像 (CT-MRI) の手法に加えて,走査型イメージング方式を開発し,鉱物や化石の観察やマイクロドジメトリーへの応用が始まった, ESR 顕微鏡は広い分野に役立つと考えられるので,いくつかの方式について応用例とともに紹介する.
著者
古沢 昌宏 池谷 元伺
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.367-372, 1991-02-20 (Released:2009-08-11)
参考文献数
18

The spatial distribution of paramagnetic and impurities, point defects, radiation effects and orientation of crystal axes is shown in some crystals of zircon, barite, aragonite, apatite, synthetic diamond, and anorthite to demonstrate the usefulness of a microwave scanning ESR microscope which we have recently developed. The feature and principle of this new imaging method is presented with some applications to mineral sciences. New information which can not be obtained with other imaging methods such as EPMA, SIMS, and luminescence becomes available with this ESR microscope. A systematic application of an ESR microscope to mineral sciences is strongly hoped.
著者
成瀬 敏郎 柳 精司 河野 日出夫 池谷 元伺
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.25-34, 1996-02-29 (Released:2009-08-21)
参考文献数
38
被引用文献数
5 4

風成塵の給源地を明らかにするために,電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance, ESR)による微細石英(≤20μm)の酸素空格子信号量を測定した.分析試料は中国黄土高原~北京の馬蘭黄土,韓国の低位段丘上の土壌,山地斜面土壌,USAのPeoriaレス,日本の福井県黒田のボーリングコア,網野・鳥取両砂丘地の古土壌で,いずれも最終氷期の風成塵堆積層と完新世土壌から採取したものである.分析結果は,馬蘭黄土の酸素空格子信号量(任意単位)が5.8~8.3であり,韓国の最終氷期・完新世両土壌が6.0~7.7であった.両国の先カンブリア紀基盤岩の赤色風化土壌は11.2~12.4であり,カナダの先カンブリア紀岩石分布地域に由来するisotope stage2のPeoriaレスの分析値も11.0~14.0であった.黒田低地では,最終氷期に古生層山地から流水によって運ばれて堆積した>63μm石英は3.6~4.0であり,同じく20~63μm石英,≤20μm石英も3.3~4.7であった.いっぽう,広域風成塵起源の微細石英(≤20μm)は5.8~8.5であり,中国黄土および韓国土壌の数値と一致した.網野・鳥取両砂丘地の古土壌中の微細石英は3.7~4.8と低く,アジア大陸起源だけではなく,最終氷期に陸化した海底からの風成塵が多くを占めるためと考えられた.鳥取砂丘地のisotope stage 4に相当する層準の微細石英には,中国黄土の数値域に属する5.8を示すものや,AT上の古土壌層のように1.9と低い数値を示すものがある.それはisotope stage 4が風成塵堆積量の多い時期にあたっており,同層準中に大陸起源の広域風成塵が多く混入したためであり,逆に数値が低いのは大山新期火山灰起源の石英が多量に混入したためと考えた.