著者
岡本 竜哉 赤池 孝章 伊藤 隆明
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

マウスインフルエンザウイルス急性肺傷害モデルを用いて、一酸化窒素と活性酸素種によるニトロ化ストレスが、病態に及ぼす影響ついて解析を行った。その結果、ニトロ化ストレスにより、感染肺局所にて8-ニトロ-cGMPが生じ、HO-1をはじめとする酸化ストPレス応答を制御するシグナル分子として、肺傷害や肺線維化の病態形成に関与している可能性が示唆された。今後、この知見を間質性肺炎の新たな治療戦略へ応用することが期待される。
著者
鈴木 喜裕 小川 伸郎 石和 直樹 伊藤 隆明
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.283-287, 2002-08-20
被引用文献数
8

背景.われわれは肺門リンパ節癌にて,リンパ節切除後に原発巣を切除した稀な症例を経験したので報告する.症例.症例は41歳男性.右肺門部リンパ節未分化癌の術後経過観察中,7年目のCTにて右S^6に小結節を認めたため右肺癌疑いにて2000年1月7日手術を施行した.結節は大きさ約10mmでS^6に存在し,迅速診断で腺癌と診断され,下葉切除とリンパ節郭清を行った.病理組織学的には中分化腺癌で一部低分化像を示し,前回のリンパ節組織像と類似していた.また免疫染色で,surfactant apoprotein(SA-P)はいずれの腫瘍も陰性,p53蛋白はいずれの腫瘍も過剰発現が認められた.また肺癌の組織診断マーカーとして有用とされているthyroid transcription factor-1(TTF-1)はいずれの腫瘍も陽性であった.組織像や免疫染色の結果から臨床所見および経過を考慮すると,今回の病変を原発巣とする肺癌のリンパ節転移と考えられ,病期はpT1N1M0 stage IIA と診断した.肺切除後2年になるが無再発生存中である.結論.原発不明肺門リンパ節癌に対しての治療としては,積極的にリンパ節切除およびリンパ節郭清を行い,長期にわたる厳重な経過観察を行い原発巣が認められたならば,原発巣の切除を行うことが良いと思われる.