著者
伴 良雄
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.268-281,232, 1972
被引用文献数
1

血中甲状腺ホルモンの日内変動を詳細に検討した.正常人では夜間, 臥位, 睡眠時にT3 RSUが高値を示すのが認められた.このT3 RSU高値の原因は, TPで補正するとT3 RSU高値が消失し, 同時刻にT<SUB>4</SUB>, FT<SUB>4</SUB>, T7が上昇傾向を示すところから, 主として血液稀釈によるものであり, 一部甲状腺ホルモンの増加によるものと考えられる.未治療甲状腺機能充進症患者, 運動量の少ない回復期の他疾患患者では未補正値, 補正値共に日内変動はわずかであつた.
著者
谷山 松雄 鈴木 吉彦 榎本 詳 佐藤 温 杉田 江里 杉田 幸二郎 渥美 義仁 松岡 健平 伴 良雄
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.401-404, 1995-05-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9

The substitution of guanine (G) for adenine (A) at positioln 3243 of mitochondrial DNA, first demonstrated in MELAS patients, has been found in some diabetics, and this mutation seems to be one of genetic factors for diabetes mellitus. Because mutational mitochondria coexist with normal mitochondria (heteroplasmy), conventional PCR-RFLPm methods may not detect a mutation When a majority of the mitochondrial DNA in leukocytes is normal. We tested the efficacy of specific PCR amplification in detecting the 3243G mutation using a primer whonse 3' base was complementary to the mutational base. This mutation-specific PCR amplification method permitted detection of the mutation in 2 patients with MELAS and in a diabetic patient whose mutation was detected by the PCR-RFLP method in biopsied muscle but not in peripheral leukocytes, and in two other diabetic patients.Specific PCR amplification for detection of the 3243G mutation is a simple and senisitive method and is useful inevaluating this mutation in diabetes mellituls.
著者
宅間 永至 杉田 幸二郎 真木 寿之 伴 良雄 佐藤 温
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.343-355, 1988-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
42

未治療の原発性甲状腺機能低下症61例を対象として, 無選択的に筋障害について神経学的面から検討を加えた.1) 筋脱力感を89%に訴え, 動作緩慢80%, 他覚的脱力51%, 筋肥大89%に認めた.深部反射の弛緩相の遅延 (Lambert徴候) は92%, mounding現象71%, 異常感覚は46%が訴え, 他覚的感覚障害は25%に認めた.2) 筋症状の程度に関係なく, 大腿四頭筋生検材料を用いて組織学的検索 (21例) を施行し, 全例に筋原性変化を認めた.その内容は筋線維の大小不同16例 (76%) , 筋鞘核の増加11例 (52%) , 中心核13例 (62%) , リンパ球浸潤6例 (29%) , ムコ蛋白沈着4例 (19%) であった.21例中17例の組織化学検索では, ミトコンドリア異常はsubsarcolemmal hyperactivity5例 (29%) , moth eaton所見4例 (24%) に認めた.Small angulated fiber, 小群集萎縮は21例中12例 (57%) , そのうち, 明らかなneuromyopathy例は3例 (14%) であった.3) 甲状腺機能重症度を血中T4値およびTSH値から判定し, その重症度を組織学的筋障害程度と対比して検討した結果, 組織学的筋障害程度とは関連性がみられなかった.4) 甲状腺機能低下症の罹病期間と組織学的筋障害程度の関連をみると, 罹病期間が短い症例は筋組織病変が軽度であり, 10年以上の症例は高度な筋原性変化に加えて神経原性変化の混在所見も高率となった.5) 筋線維タイプ別分類からみると, 17例中16例 (94%) はタイプII線維数の占める比率が, タイプI線維より高いか, 同率であった.また, タイプII線維の萎縮が8例 (47%) と多く, タイプ1線維の萎縮を2例 (12%) , 筋組織病変が高度になると両型線維の萎縮を3例 (18%) に認め, atrophy factorも高値となった.肥大筋線維はタイプI線維の肥大を2例, 両型線維の肥大を1例認めた.6) 腓腹神経の検索 (6例) では有髄神経線維数の減少, 節性脱髄, endoneurial fibrosisが主体で, 軸索の変化は軽度であった.7) 髄液検査 (21例) では蛋白増加を10例 (48%) に認め, 筋生検施行例 (13例) では髄液圧亢進, 蛋白量増加は筋組織上の神経原性変化とは関連がなかった.筋電図 (23例) は15例 (65%) に異常を認め, 15例中筋原性パターン13例 (87%) , 多相性電位8例 (53%) , 高振幅電位3例 (20%) で, 罹病期間が長期例では神経原性パターンが高率にみられた.末梢運動神経伝導速度は, 正中神経 (16例) で2例 (13%) , 脛骨神経 (7例) で2例 (29%) に遅延を認めた.