著者
住田 健二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.691-748, 2000-08-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5

JCO臨界事故の発生から早くも1年が経過しようとしているが,この事故が与えた衝撃は原子力界全体を揺るがす大きなものであった。日本原子力学会においても,愛媛大学での「2000年春の年会」では多くの専門分野から多角的かつ熱心な討議がなされ,「原子力安全」調査専門委員会や各部会においても学会員の所属を超えた協力関係により,事故の経緯,原因および今後の対応についての解明や模索が続けられた。本「特集」では,これらの努力に基づいた現状での取りまとめを示すとともに,法律,保険など原子力分野以外の方にもご執筆いただき,JCO事故を教訓とした安全性研究への今後の取組みの方向性を考える上での一助となればと願う次第である。
著者
住田 健
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.37, 2006-03

本研究の目的は、スポーツ観戦者の「投資の評価」が「再観戦意図」に与える影響を明らかにすることである。具体的には、「再観戦意図」、「チームロイヤルティ」、「満足度」、「サービスクオリティ」、「投資の評価」の関係をモデル化することで再観戦意図への影響を明らかにする。本研究は、測定尺度の開発を行なった。投資の評価に関しては、一般の消費者行動研究の先行研究をレビューした後、Cronin et al. (1997)で用いられた測定尺度をスポーツ観戦者に適用できるよう改良を行なった。他の測定尺度に関しても、先行研究を参考に開発を行なった。開発した尺度の信頼性と妥当性を確認するために予備調査を行なった。予備調査の結果、投資の評価とサービスクオリティで信頼性が低い結果となった。この問題を解決するために、投資の評価に関しては、質問用紙を改良し、サービスクオリティに関しては、項目間の相関を検討した後、4項目を削除した。本研究の対象者は、ガンバ大阪の試合の観戦者である。2005年10月22日、万博記念球技場で行なわれたJリーグ・レギュラーシーズンのガンバ大阪の試合で調査を行なった。試合終了後に調査用紙を配布した。351部を回収し、有効回答数は238部(67.8%)であった。因子の信頼性を確認するために、クロンバッハのα係数による信頼性分析を行なった。チームロイヤルティ、サービスクオリティ、投資の評価の3つの因子のα係数は.553から.916の値を示した。共分散構造分析の結果、「投資の評価」から「再観戦意図」へのパス係数は-.045 (n.s.)、「投資の評価」から「満足度」へのパス係数は.038 (n.s.)であった。また、「投資の評価」と「チームロイヤルティ」には有意な相関(r=.225, p<.05)が確認された。「チームロイヤルティ」から「再観戦意図」へのパス係数は.377 (P<.001)であった。本モデルは、x^2/df (2.931)、RMSEA (.090)、GFI (.844)、AGFI (.788)であり、一定の適合度は認められた。以上のことから、投資の評価は直接的に、再観戦意図に影響するのではなく、満足度を介しても影響を与えないが、チームロイヤルティと有意に関わることによって、間接的に再観戦意図に影響をあたえていることが考えられる。