- 著者
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佐古 愛己
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2010-04-01
古代都城平安京から中世都市京都への変貌は、従来、京域内の変化に関しては、律令制的都市支配制度の形骸化、解体による治安の悪化や都市民による巷所の形成など、権力の弱体化や不在が中世都市の形成に繋がったとする視角が主流であった。本研究では、度重なる御所の焼失や頻繁にみられる天皇や上皇などの居所の移動(移徙)が、院政期に次々に実施される新宅(内裏・里内裏や院御所)造営と密接に関連しており、さらにその背景には、造営を請け負う受領をめぐる人事との関係がみられる点を明らかにして、当該期の政治・経済・人事制度に関連する構造的な問題の存在と、権力者により積極的に中世的都市の構築が図られていた側面を指摘した。