著者
佐藤 僚太 波部 斉 満上 育久 佐竹 聡 鷲見 和彦 八木 康史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.920-931, 2016-12-15 (Released:2017-01-20)
参考文献数
15
被引用文献数
4

公共空間内を往来する歩行者の属性や行動目的などを推定する技術は,施設の利用状況を自動的に観測し,各人物に最適な情報提供を行う情報環境の構築に貢献できる.その際には,どの人物同士が共に行動しているのかを推定し,歩行者をグループとして扱う技術が求められる.歩行者のグループを検出するには,2人の歩行者間の歩行軌跡や注意の向きの関係を手がかりとする手法が多く用いられる.これらの手法は,観測データ全体から特徴量を抽出して識別しており,歩行者グループは常にグループらしい動きをすること前提としている.しかし,実空間での歩行者グループは各個人の興味の対象の違いや障害物を回避する道筋の違いなどから常にグループらしい行動をする訳ではない.これによって,これまでの手法ではグループ検出が困難となる事例が見られる.本研究では,歩行データの時系列分割とマルチプル・インスタンス・ラーニング(MIL)によって,行動中の短時間に存在するグループらしい振る舞いを検出する手法を提案する.提案手法では,歩行データを時系列分割し,各時間区間の特徴量をMILを用いて別々に識別する.MILは教師あり学習の一種であり,複数の要素データの集合であるバッグ内に,少なくとも1つの正の要素データがあるかどうかを識別する.上記の時系列分割によって,時間区間の一部にグループらしい特徴があればそれを検出することができる.実験では,グループ動作を模擬したデータと,実際のショッピングモールで取得したデータを利用し,提案手法の有効性を確認した.
著者
佐藤 僚太 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-51, no.12, pp.1-6, 2019-02-15

本稿では,メドレー楽曲におけるマッシュアップを考慮した楽曲断片検出法について述べる.メドレー楽曲とは,複数楽曲の一部分の区間を接続することで作られる新たな形式の楽曲のことを指す.メドレー楽曲では原曲をテンポやキー,音の追加や削除などのアレンジやマッシュアップを行うことで,一曲であるかのように楽曲断片同士の接続を行っている.我々は,メドレー楽曲において何の曲がどこからどこまで登場しているか同定するため,Wang の音声指紋とカバーソング同定法 (Cover Song Identification, CSI) である Serrà らの相互再帰定量化 (Cross Recurrence Quantification, CRQ) を組み合わせた楽曲断片検出法の提案する.メドレー楽曲とその構成楽曲から音声指紋を抽出し,2 曲の類似度行列である行列 CR とカバーソングを定量的に評価するための累積値行列 Q を作成し,開始地点を同定することで楽曲断片の検出っを試みる.実験結果から,やや低い精度ではあるものの,パラメータの検討によって本手法の楽曲断片検出の精度が向上することが示唆された.