著者
佐藤 広英 太幡 直也
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 = Shinshu studies in humanities
巻号頁・発行日
no.2, pp.57-66, 2015-03

本研究では,高校生のインターネット上における情報プライバシーの実態を検討した。高校生663名を対象としたウェブ調査を実施し,インターネット版情報プライバシー尺度(MPS-I)に回答するように求めた。その結果,以下の点が明らかとなった。具体的には,(1)女性は男性よりも属性情報に対してプライバシーを感じる程度が低いこと,(2)学年間で情報プライバシーに差はみられないこと,(3)他の世代と比較して,高校生は属性情報に対してプライバシーを感じる程度が低いこと,(4)情報プライバシーとインターネット利用時間の間には負の相関がみられること,がそれぞれ明らかとなった。
著者
佐藤 広英 太幡 直也
出版者
WebLab
雑誌
メディア・情報・コミュニケーション研究 (ISSN:2432048X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-26, 2016-03

本研究の目的は,情報プライバシーに基づくSNS利用者の類型を明らかにすること,その類型とプライバシーに関わる被害経験および自己情報公開に対するリスク認知との関連を検討することであった。SNSを利用する若年層554名に対してウェブ調査を実施した。クラスター分析の結果,情報プライバシーの得点に基づき,四つの類型が示された。また,クラスター間でプライバシーに関わる被害経験の有無,自己情報公開に対するリスク認知の程度は異なっていた。全体として,識別情報に対する情報プライバシーが低い群において,他の群よりもプライバシーに関わる被害経験を有する割合が多く,自己情報公開に対するリスク認知が低いことが示された。This study aimed to investigate the relationships between types of information privacy, experiences of invasion of privacy, and risk perception for disclosing one's information. A web-based survey was conducted of 554 young Japanese social networking site users. Four clusters were derived based on information privacy scores. These clusters differed significantlyfrom each other with respect to experiences of invasion of privacy and risk perception for disclosing their information. Overall, the cluster, which was characterized by low concerns about their privacy for identifiable information, had more unfavorable characteristics, such as more abundant experiences of invasion of privacy and lower risk perception for information disclosure, compared to the other clusters.
著者
太幡 直也 佐藤 広英
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.12, (Released:2018-05-18)
参考文献数
17

情報プライバシーは,インターネット(以下,ネット)上での不特定多数の他者への自己情報公開と負の関連がみられることが報告されている。本研究では,ネット上での未知の他者への自己情報公開を測定し,情報プライバシーと自己情報公開との関連を,対面の予期を操作して検討した。大学生に対し,ネット上で未知の大学生とチャットをするように告げた。対面の予期あり条件の実験参加者には,チャットをする相手と後日会ってもらう予定であると伝えた。一方,なし条件の実験参加者には,そのように伝えなかった。チャットをする前に,実験参加者に,相手に示すプロフィールを作成するように求めた。その結果,なし条件では,識別情報へのプライバシーが低い者ほど,プロフィール上で自己に関する事柄を多く表出していた。一方,あり条件では,情報プライバシーとプロフィール上の自己情報公開には関連はみられず,コミュニケーション動機が高い者ほど,プロフィール上の情報入力数が多く,また,プロフィール上で自己に関する事柄を多く表出していた。
著者
佐藤 広英 太幡 直也
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-40, 2018-03-15

本研究の目的は,高齢者がインターネット利用に対してどのようなリスク,ベネフィットを認知しているのか,その具体的な内容を若年者との比較を通して検討することであった。高齢者および若年者を対象とする半構造化面接の結果,高齢者は若年者よりも詐欺被害に遭うリスクやウイルスに感染するリスクを認知していること,ネット自体に対する不安・恐怖を認知していること,インターネット上でのコミュニケーションに関するリスクをあまり認知していないことが示された。ベネフィット認知については,高齢者,若年者を問わず,情報収集の容易さや速さに対してベネフィットを認知していることが示された。その他,高齢者,若年者それぞれのインターネットの利用目的に対応したリスクやベネフィットが多く認知されることが明らかになった。