著者
瀬﨑 美貴 飯島 良江 佐々木 貴子 染谷 まゆみ 豊田 夕子 佐藤 瑞穂 鈴木 敬久 野﨑 礼史 菊池 浩子 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.843-848, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【目的】栄養管理において体重は栄養投与量を算出する最も基本となる指標である。しかし、起立困難な高齢者では体重測定に難渋する。そこで、ベッドサイドで容易に計測できる項目から体重の推定を試みた。【対象及び方法】65歳以上で起立困難な、当院の入院患者及び高齢者施設入所者で、本研究に同意の得られた121名を対象とし、体重、6点法身長、脛骨長、膝高、腹囲を計測した。実測体重を目的変数とし、年齢・性別・腹囲に加え脛骨長、身長、膝高のいずれかを用い、重回帰分析により体重推定式を求めた。【結果】脛骨長から求めると、体重(kg)=-15.8-3.53×性別(男1or女2)-0.106×年齢+0.743×腹囲(cm)+0.530×脛骨長(cm) (R=0.905)となった。身長や膝高からも同様に高い相関が得られた。【結論】起立不能な高齢者でも、容易に測定可能な腹囲と脛骨長や膝高から実用的な推定体重が求められた。
著者
番場 祐基 茂呂 寛 永野 啓 袴田 真理子 島津 翔 尾方 英至 小泉 健 張 仁美 青木 信将 林 正周 佐藤 瑞穂 坂上 亜希子 小屋 俊之 菊地 利明
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.500-506, 2019-07-20 (Released:2020-02-02)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

[目的]国内3種の(1→3)―β―D―グルカン(以下β―D―グルカン)測定試薬における測定結果と患者の臨床背景を比較し,深在性真菌症の診断における有用性および試薬間での測定結果の乖離,偽陽性の要因について評価する.[方法]新潟大学医歯学総合病院において2017年8月から2017年11月にかけてβ―D―グルカン検査が提出された患者を対象とし,測定残余血漿を用いて以下の3試薬について測定した.(1)ファンギテックGテストMKII「ニッスイ」(以下MKII法),(2)ファンギテックGテストES「ニッスイ」(以下ES法),(3) β―グルカンテストワコー(以下ワコー法).[成績]171患者,245検体が対象となった.深在性真菌症患者は疑診を含め7例であった.β―D―グルカン測定値は,同一検体間の比較でMKII法が最も高く,次いでES法,ワコー法の順であったが,互いに有意に相関していた.感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率などの診断特性は各試薬によって異なっていた.MKII法で偽陽性を比較的多く認めたものの,深在性真菌症(疑診含む)診断におけるROC曲線下面積には有意差はなかった.いずれかの試薬による偽陽性を呈した14例について,階層型クラスター分析を用いて分類したところ,偽陽性のパターンに一定の傾向が認められた.[結論]各測定試薬によるβ―D―グルカン測定の結果は概ね相関しているが,測定値は大きく異なっており,異なる試薬同士の比較は困難である.深在性真菌症診断における差は小さいが,それぞれの試薬の診断特性を理解し使用するべきである.また試薬によって偽陽性の原因が異なる可能性が示唆された.