著者
番場 祐基 茂呂 寛 永野 啓 袴田 真理子 島津 翔 尾方 英至 小泉 健 張 仁美 青木 信将 林 正周 佐藤 瑞穂 坂上 亜希子 小屋 俊之 菊地 利明
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.500-506, 2019-07-20 (Released:2020-02-02)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

[目的]国内3種の(1→3)―β―D―グルカン(以下β―D―グルカン)測定試薬における測定結果と患者の臨床背景を比較し,深在性真菌症の診断における有用性および試薬間での測定結果の乖離,偽陽性の要因について評価する.[方法]新潟大学医歯学総合病院において2017年8月から2017年11月にかけてβ―D―グルカン検査が提出された患者を対象とし,測定残余血漿を用いて以下の3試薬について測定した.(1)ファンギテックGテストMKII「ニッスイ」(以下MKII法),(2)ファンギテックGテストES「ニッスイ」(以下ES法),(3) β―グルカンテストワコー(以下ワコー法).[成績]171患者,245検体が対象となった.深在性真菌症患者は疑診を含め7例であった.β―D―グルカン測定値は,同一検体間の比較でMKII法が最も高く,次いでES法,ワコー法の順であったが,互いに有意に相関していた.感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率などの診断特性は各試薬によって異なっていた.MKII法で偽陽性を比較的多く認めたものの,深在性真菌症(疑診含む)診断におけるROC曲線下面積には有意差はなかった.いずれかの試薬による偽陽性を呈した14例について,階層型クラスター分析を用いて分類したところ,偽陽性のパターンに一定の傾向が認められた.[結論]各測定試薬によるβ―D―グルカン測定の結果は概ね相関しているが,測定値は大きく異なっており,異なる試薬同士の比較は困難である.深在性真菌症診断における差は小さいが,それぞれの試薬の診断特性を理解し使用するべきである.また試薬によって偽陽性の原因が異なる可能性が示唆された.
著者
福与 徳文 田中 秀明 合崎 英男 遠藤 和子 小泉 健
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.115-120,a2, 2007-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

デルファイ法を用いて農村資源管理の将来を予測するとともに, その影響の大きさと対策の有効性を評価した。20年後には農地面積は現在の474万haから413万haに減少し, 農業水路は現在の40万kmの3割に当たる12万kmが管理困難に陥るという結果を得た。また, 耕作放棄増加による影響としては, 畦畔・法面の崩壊による土砂崩壊や洪水被害の発生が最も危ぶまれ, 管理困難水路増加の影響としては, 土砂小枝の堆積による湛水被害の増加や灌漑排水への支障が最も危ぶまれる。また, 対策としてはハード整備にあわせた保全管理体制の構築や保全管理に対する公的助成の拡大などの有効性が高いと評価された。