著者
佐藤 直紀
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.480-484, 2006-08-10 (Released:2007-12-05)
参考文献数
5
被引用文献数
4 2

The mechanisms of beautifulness of Japanese black and brown hairs, the structure factors influencing on appearance, and technologies to develop hair shine and vividness of color are reviewed. Various types of pores in each part of the fiber generated by hair damage cause light scattering, which leads to loosing hair shine. Pore fixation technology using aqueous malic acid solution was found effective to reduce light scattering due to swelling ability of the organic acid. Furthermore, the novel chroma enhancement technology with using only shampoo and conditioner is reviewed. Fibers with surface structures having fine concaves and convexes show developing vividness in color. The mechanism of the color enhancement was explained by approximation theory of effective media, by which the refractive index of the treated fiber surfaces was estimated to be less than 1.3.
著者
長瀬 忍 篠崎 孝夫 土屋 勝 辻村 久 増川 克典 佐藤 直紀 伊藤 隆司 小池 謙造
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.201-208, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
23

毛髪外観は毛髪の形や色,光学物性などの影響を受ける。たとえば,毛髪の形は加齢に伴いうねり(くせ)が強くなることが報告されているが,うねりの増加に起因して毛髪の揃いが乱れ,髪の艶が低下する。そこで本研究では毛髪の形に着目し,毛髪の形と微細構造との関係を明確にすることを目的とし,種々の解析を行い以下の結果を得た。1.蛍光色素のくせ毛内部への浸透挙動は非対称(くせ形状の外側で浸透速度が速く,内側で遅い)であった。この結果は外側・内側における構造/化学組成の違いを示唆する。2.透過型電子顕微鏡観察により,くせの外側では中間径フィラメント(IF)が螺旋状に配列し比較的小さなマクロフィブリルを形成し,くせの内側ではIFは毛髪軸にほぼ平行に配列し比較的大きなマクロフィブリルを形成する傾向が認められた。3.くせ毛を外側と内側に分割しアミノ酸組成を分析した結果,くせの外側にはAsp,Glu,Glyが多く,内側にはCysが多いことが判明した。以上のヒトのくせ毛解析結果は,羊毛のオルト/パラコルテックス細胞の解析結果に似ており,曲がった形の毛髪の構造や組成が哺乳類で共通である可能性を示唆する。
著者
沖山 夏子 津田 千春 森合 康朗 次田 哲也 南 浩治 佐藤 直紀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.292-300, 2013-12-20 (Released:2015-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ファンデーション (FD) ユーザーの多くが日常的に感じている「化粧のり」,すなわち化粧仕上がりが日によって異なる現象に着目し,同一人の肌で化粧仕上がりを毎日観察する調査を行った。化粧仕上がり変動の原因は,素肌の表面状態が日によって変動することによりFD の肌への付着状態が変化するため,という仮説を設けた。30代女性15名のパウダータイプFDユーザーを被験者とし,素肌の表面特性 (水分量,皮脂量,粘弾性) の測定と表面状態 (落屑,毛穴,ニキビ,色むら) の観察,化粧仕上がりの観察を1カ月間毎日実施した。その結果FDの仕上がりは,同一被験者が同じFDを使用していても日によって変動していた。変動の内容は「かさつき目立ち」が変動するタイプと「ムラづき」が変動するタイプの被験者に分類された。素肌状態も日により変動していた。FD仕上がりと素肌の変動の相関を被験者ごとに解析した結果,「かさつき目立ち」変動タイプでは落屑,ニキビの変動が,複数の被験者において仕上がり変動と相関が認められた。素肌の表面凹凸が日々変動することがFD付着性に影響を与え,化粧の「かさつき目立ち」の変動の原因となることが示唆された。