著者
佐藤 龍子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

任期制教員の採用は、国立では平成11年ごろから、私立大学では臨時的定員導入前後(昭和60年頃)からが多い。現在、任期制は急速に増えている。競争的経費が増えたことも一因である。しかし、一部の若手研究者を除き、キャリア形成の視点から任期制をとらえている大学は極めて少なく、任期制教員の特別のFD(教育力向上)もなされていないことが分かった。世界的な高等教育の市場化の流れの中、大学教師も不安定雇用が増えている。
著者
佐藤 龍子
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.81-96, 2007

本稿では,高等教育政策の量的緩和の最たるものとして「期間を限った定員増」(臨時的定員)とその後の臨時的定員の5割恒常定員化を取り上げる。1992年をピークとした第2次ベビーブームの18歳は,205万人に達した.大学・短大の志願者は122万人にものぼった。当時の受験生にとっては,まさに地獄であったが,大学にとっては黙っていても受験生が集まる時代であり,1986年から1992年の7年間は「ゴールデンセブン」 (輝く7年間)であった。大学にとっては天国であり,「バブルの時代」でもあった。 当初の臨時的定員計画は44,000人であったが,最終的には112,443人になった。恒常的定員も当初計画は42,000人であったが,78,173人になった。その後,臨時的定員は5割恒常定員化されることになった。 「ゴールデンセブンの時代」と臨時的定員政策は,高等教育にどのような影響を及ぼしているのだろうか。大学大衆化の進展と関わりはどうなのか。今,改めて臨時的定員政策を振り返ってみたい。