著者
大熊 将平 佐藤 愼司 山中 悠資 佐貫 宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.58-68, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
14

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波による福島県の被害に関して,現地調査及び数値シミュレーションを行い,海岸構造物の破壊機構を解明した.また,構造物へ大きな波力を及ぼす段波に関する水理実験を行い,津波の波面勾配が限界値を超えると段波が発生し,その限界値は海岸の地形勾配が緩やかなほど小さくなることが分かった.また,段波が構造物に作用する衝撃波圧は,入射波前面の波面勾配が大きくなるほど大きくなることが確認された.実験結果を津波の数値計算と組み合わせることで,福島県沿岸域の段波発生を分析した.その結果,中部では最大水位が高くかつ激しい段波が発生した可能性が高いことがわかり,中部で特に卓越する海食崖地形が,波面勾配の急峻化と段波の発生に影響しているものと推察された.
著者
渋尾 欣弘 佐貫 宏 李 星愛 吉村 耕平 田島 芳満 古米 弘明 佐藤 愼司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.100-109, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
15

近年,治水整備目標を超える規模の豪雨が増加傾向にあり,それに伴う水災害も深刻な問題となっている。これからの都市流域の浸水対策には,既存の治水施設や観測記録などの情報を効果的に活用していくことが求められており,特に浸水予測モデルが果たす役割は大きい。沿岸部低平地に都市部が広がるわが国においては,河川洪水,都市氾濫,沿岸部における高潮・高波などが複雑に都市浸水に影響し合うため,これらの事象を適切に評価しうるモデルが必要である。本稿では総合治水対策が進む鶴見川を対象に,河川・下水道・氾濫・海岸の各要素がシームレスに結合されたモデルを適用し,遊水地・雨水管理設備情報や時空間精緻なレーダー雨量等のデータを統合的に活用した,高度化された浸水対策への取り組みについて解説する。