著者
佐久川 肇 保住 芳美
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.145-148, 1999-12-25

近年, ペットに死なれた飼い主が, 身近なものを失った場合と変わらない精神的打撃を受けることがしられ, ""ペットロス""として注目されている.ペットロスは特に孤独な老人の場合に, より深刻な様相を呈するといわれている.現代の産業社会においては, 老人は生産活動から遠のき, 人間関係が希薄になって, いわゆる脱社会化現象が起こりやすく孤独に陥りやすい.ペットとの関わりはこのような老人の孤独に対して大きな支援をもたらす.ペットとしての犬の場合にはその特性から飼い主と関わることを心から喜んで飼い主に従う.それは対等な人間関係とは本質的に異なるが, 関係の真実さと, 老人のペースに見合った関係が得られることから, 生命エネルギーが乏しくなった老人にとっては, 人間関係に代わるものを与える援助の手段として積極的な評価が必要である.
著者
保住 芳美
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.337-346, 2009

ドイツでは,2003年に施行された「老人介護の職業に関する法律」に基づき,老人介護士を国家資格として制度化し,その養成のためのプログラムも設定された.老人介護士の養成期間は3年間,4,600時間である.教育内容は,4領域「14の学習領域」が設定されている.実習はデュアルシステムとして実習先と生徒の間で「訓練契約」を結ぶなど人材の育成が体系化されている.老人介護士養成学校の教員の資格要件は,老人介護士養成学校3年課程を卒業,職業経験,老人介護士教員養成訓練,教員養成大学を卒業していることであり,原則的にその職業に就いている者である.実習指導教員の資格要件は,実務経験2年以上,老人介護に相応する職業資格,看護・介護指導員養成訓練が義務づけられている.学習内容で注目したいのは,ドイツでは複数の専門職間における連携教育が導入され始めていることである.日本でも連携教育を学び,卒業後現場で活用ができる力量を身に付けさせる必要がある.教員養成課程においては,教員の質を向上させるため,専門課程の「教授学」を学ぶことが重要であり,現実に即した問題解決が可能となるような教員養成の方法を考える必要があると考える.
著者
田村 真広 菅井 直也 関矢 貴秋 保正 友子 山本 美香 平野 優 阪野 貢 保住 芳美 矢幅 清司 池田 幸也 大橋 謙策 北本 佳子 阪野 貢 長谷川 豊 馬場 清 原田 正樹 平野 和弘 平野 優 保住 芳美 宮脇 文恵 矢幅 清司 芦川 裕美 岡 多枝子 田中 泰恵 崔 太子
出版者
日本社会事業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

高等学校の専門教科「福祉」の教育改善と教師教育に関する総合的研究である.(1)理KOMI論を活用して介護福祉の基礎から実習教育を一貫させる教材開発、(2)高等学校福祉科の卒業生の就労状況や福祉教育への意識を調査したライフコース研究、(3)での後期中等教育段階にEUおけるケアワーカー養成・教員養成システムを調査した研究、(4)特色ある高校づくりの要に教科「福祉」を位置づけた教育課程改革の実態調査.これらの研究成果をもとに、教科「福祉」の教員教育のあり方について問題提起した.