著者
坂口 昌幸 新宮 聖士 春日 好雄 小林 信や 天野 純 保坂 典子 野村 節夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.3021-3026, 1998-12-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
52

症例は45歳女性.検診で前頸部腫瘤を指摘され,縦隔内甲状腺腫と診断された.この時に胸部X線で右横隔膜の挙上を指摘され, CT, MRIにて右肺下面と横隔膜との間に巨大な腫瘤を認め,右肺中葉を圧排していた. CT値より脂肪腫,胸腺脂肪腫が疑われた.これらの腫瘍を摘出した.縦隔内甲状腺腫は256g,縦隔内巨大腫瘤は2,000gで,病理組織学的にはそれぞれ腺腫様甲状腺腫,胸腺脂肪腫と診断された.縦隔内甲状腺腫を合併した胸腺脂肪腫は極めて稀で,われわれが検索しえた限りでは,本症例1例のみであった.
著者
齋藤 学 境澤 隆夫 有村 隆明 西村 秀紀 保坂 典子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.1422-1426, 2011 (Released:2011-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

意識障害を契機に発見されたPTHrP産生肺癌の1例を経験したので報告する.症例は76歳,男性.2007年4月下旬頃より,呼びかけに対する応答が鈍くなったと意識障害を主訴に,同年6月に通院中の近医を受診した.心臓,脳の精査を施行したが,これらに異常は認められなかった.高カルシウム血症と胸部X線検査にて異常を指摘され,当院に紹介となった.諸検査にてPTHrP産生肺癌による高カルシウム血症と診断し,同年8月左下葉切除術および縦隔リンパ節郭清(Node Dissectoin 2a-1:以下ND2a-1)を施行した.術直後に一過性の低カルシウム血症を認めたが,意識レベルや腎機能障害も改善し,術後10日目に退院となった.術後1カ月後の血清カルシウム値,PTHrPは正常化し,intactPTHは改善傾向であった.現在術後3年5カ月経過しているが,再発なく経過している.