著者
保手浜 勝 竹森 利和 平岡 哲也 荻野 敏
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.Supplement1, pp.37-40, 2006-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
4

【目的】43℃のエアロゾル, すなわち鼻局所温熱療法が鼻アレルギーの諸症状に有効であることについてはすでに多くの報告がある。今回家庭の浴室で48℃のミストを発生するいわゆるミストサウナの鼻アレルギー等の鼻閉に対する効果を検討した。【対象および方法】10名の鼻アレルギー患者を対象に, ミストサウナ入浴 (10分) と通常の40℃の入浴の鼻閉に与える効果をVASおよびacoustic rhinometry (AR) により比較した。なお, 全例別の日時に両方の入浴および測定を行っている。【成績および考察】通常入浴では, 出湯直後のみVASで鼻閉の改善がみられたが, acoustic rhinometryによる鼻腔容積の有意な増加はみられなかった。それに対し, ミストサウナではVASにおいてもacoustic rhinometryにおいても鼻閉の改善は30分以上持続し, 90分後においてもミストサウナは通常入浴に対して有意に鼻閉改善効果がみられた。このようにミストサウナは従来の鼻局所温熱療法と同様の効果がみられ, これを用いた毎日の入浴は鼻アレルギーの症状改善に有用と思われた。
著者
山下 満智子 川島 隆太 岩田 一樹 保手浜 勝 太尾 小千津 高倉 美香
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.125-129, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
15
被引用文献数
3

最新脳科学の研究成果に注目して, 脳の健康という視点で「調理の効用」を研究するために, 無侵襲・低拘束性の近赤外線計測装置により調理中の脳活動を計測した。  計測に使用した近赤外線計測装置は, 頭皮から20ミリほどの深さにある大脳皮質の活性状態を近赤外線の照射によって計測する装置である。本実験の脳の測定部位は, 大脳の前頭連合野で, 運動・感覚・認知・言語・思考など高次脳機能に関連する。  実験方法は, 成人女性15名に対して, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという作業を課し, 各調理の手順における脳活動の計測を行った。  計測の結果, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという調理の各手順で, 左右の大脳半球の前頭連合野の活性化が確認された。  音読や計算による脳の活性化の確認やそれらを組み合わせた学習療法による実践的研究や本実験結果から「調理を行うこと」によって前頭連合野を鍛えることができると考えられ, 前頭連合野の働きである他者とのコミュニケーションや身辺自立, 創造力など社会生活に必要な能力の向上が期待されることが示唆された。