著者
川島 隆太
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-5, 2011 (Released:2012-01-27)
参考文献数
9

脳機能を維持・向上する,精神的な健康感を向上するための手法を開発研究するにあたり,我々は,認知神経科学の観点から,大脳の前頭前野の機能に注目をしている.人間の前頭前野は,もっとも高次な認知機能を司る場所として知られており,健全な社会生活を送るために必要な能力が宿っており,特に実行機能と呼ばれている機能(将来の計画・企画や意思決定,行動の選択や統制などの基幹となる機能)を持つ.我々は,60歳代くらいになると,心身のさまざまな機能の低下を自覚する.しかし,こうした心身機能,特に前頭前野が司る認知機能の低下は,20歳代30歳代からすでに始まっていることが知られている.この前頭前野が司る認知機能の低下に対して,最近の認知心理学研究で,認知トレーニングと呼ばれる方法が有効であり,特にワーキングメモリートレーニングによって,さまざまな前頭前野の認知能力を向上させることが可能であること,前頭前野を中心とした大脳の構築に可塑的な変化が生じることなどが証明されている.日常生活で行われている咀嚼運動自体には作動記憶トレーニングとしての要素はほとんどない.実際に機能的MRIによってさまざまな咀嚼運動と関連する脳活動を計測したが,多くの活動は運動・感覚野に限局し,前頭前野には有意な活動を見出すことはできなかった.したがって我々の研究仮説の延長上で咀嚼と脳を鍛える効果を結びつけるのは難しいと考えている.
著者
川島隆太
雑誌
日食育誌
巻号頁・発行日
vol.2, pp.82-94, 2008
被引用文献数
1 or 0
著者
山下 満智子 川島 隆太 三原 幸枝 藤阪 郁子 高倉 美香
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.134-139, 2007 (Released:2007-11-07)
参考文献数
21

本研究では「調理習慣によって前頭前野機能が向上すること」を実証することを目的として実験を行った。  実験方法として, 生活介入法を採用し, 59~81歳 (平均68.5歳) の定年退職後の男性21名に対して, 料理講習会と家庭での調理 (週5回以上, 15分から30分間) を組み合わせ3ヵ月にわたり調理習慣導入の生活介入を行い, 介入前後に脳機能検査を実施した。これらの脳機能検査の得点の比較により, 調理の生活介入によって前頭前野機能が向上することを実証する。  脳機能検査 : 前頭前野機能検査2種 (FAB, ストループ), 思考力機能検査 (トポロジー), 総合的作業力検査 (符号合わせ), 認知機能検査 (ミニメンタルテスト) を面接法にて生活介入の前後に実施した。  FAB, トポロジー, 符号合わせの各検査で得点が有意に向上し, 調理習慣によって前頭前野機能が向上することが実証された。  調理を習慣にすることが, 前頭前野を鍛え, その働きであるコミュニケーションや身辺自立, 行動の抑制, 感情の制御など社会生活に必要な能力の向上もしくは低下を防ぐ可能性が示唆された。
著者
辰巳 桂子 出口 弘 長尾 ひろみ 杉浦 元亮 ジョン ヒョンジョン 生田 奈穂 橋爪 寛 松縄 順子 川島 隆太
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.89-104, 2008-06

One of human-being specific activities, interpreting (oral translation), has been adopted as a popular method to enhance second language acquisition lately. The question, however, how interpreting is executed in human brains, remains largely unknown. In this paper, we present our fMRI (functional Magnetic Resonance Imaging) experimental results to investigate how cerebral cortices are activated when subjects are engaged in interpreting exercises. Twenty-one healthy, right-handed university student subjects participated in this study. We directly compared English to Japanese consecutive interpreting (EJ) to Japanese to English consecutive interpreting (JE) using subtraction method, as well as with sentence reconstruction tasks in Japanese (JJ) and English (EE), and with resting condition (Rest, or baseline). The direct subtraction analysis between EJ and JE left only a limited area: left superior temporal gyrus remained. In JE minus EJ (masked by EJ-Rest: P<0.05image), right and left precentral gyri, left thalamus, left and right superior temporal gyri, and left middle temporal gyrus are left, suggesting that JE recruited more extensive regions in comparison with EJ, despite that all sources of sentence recorded and used as stimuli were constructed to be at the same level of difficulty, either directly taken from MEXT (Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology) -authorized popular textbooks used in Japanese public junior high schools, or translation of such sources. The conditions EJ, EE, and JJ showed very similar patterns of cortical activation, indicating that the conditions recruited similar brain regions: left and right superior temporal gyri, mainly left middle temporal gyrus,, left inferior frontal gyrus (opercular part and triangular part), left temporal lobe's lateral surface, and mainly left supplementary motor areas. EJ and JE commonly activated Inferior frontal gyri (opercular part and triangular part) and supplementary motor areas in both hemispheres. Kawashima (2004) reports that even a different-activity-related cortical activation serves as a preparatory activity for the individuals' following activity and enhances learning or delays development of dementia in older subjects. From the results, we infer that EE and JJ sentence reconstruction exercises that activated similar regions to those activated in consecutive interpreting might fit the purpose of consecutive interpreting training preparation.
著者
横山 悟 マナロ エマニュエル 田中 エリス伸枝 高橋 慶 橋爪 寛 ジョン ヒョンジョン 川島 隆太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.145, pp.13-17, 2012-07-14

外国語の習熟度の一側面として、処理時間の速度という側面がある。本研究では、日本人英語学習者による英文理解の速度を計測し、その速度と英語の習熟度との関係性を探る。その目的のため、習熟度のバラつきがある日本人英語学習者群に対し、英語習熟度テストと英文のself-paced reading taskを課し、両者の関係性を探索的に探った。本論文では、その実験結果を報告する。
著者
宮内 誠 カルロス 杉浦 元亮 蓬田 幸人 秋元 頼孝 月浦 崇 川島 隆太
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

他者の身体に危害を加えるという過去の出来事に関して加害行為を実行することと被害者を目撃することが脳内で別々に表象されている可能性がある。本実験では参加者に顔写真を提示し、仮想の加害行為として顔写真の目に画鋲を刺す行為を含む課題を行わせた。その行為の想起時の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて測定した。本研究では加害行為の有無を識別することが可能かどうかを機械学習的手法を用いて検討した。
著者
事崎 由佳 竹内 光 関口 敦 品田 貴光 山本 悠貴 高橋 慶 荒木 剛 瀧 靖之 荻野 武 木口 雅史 川島 隆太
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

デイリーハッスルズは日常生活上の小さな苛立ちであり、健康に悪い影響を与えることが知られている。我々は、脳血流と心拍数の生体情報を1chNIRSで視覚的にフィードバックし、自身の生理的状態を制御する訓練によってストレス反応が軽減されるか否か検討した。その結果、統制群と比べ介入群において右眼窩前頭前野と左海馬の灰白質量の増加、陰性気分、抑うつ傾向、職業ストレス、唾液中コルチゾール濃度の低下が見られた。
著者
山下 満智子 川島 隆太 岩田 一樹 保手浜 勝 太尾 小千津 高倉 美香
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.125-129, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
15

最新脳科学の研究成果に注目して, 脳の健康という視点で「調理の効用」を研究するために, 無侵襲・低拘束性の近赤外線計測装置により調理中の脳活動を計測した。  計測に使用した近赤外線計測装置は, 頭皮から20ミリほどの深さにある大脳皮質の活性状態を近赤外線の照射によって計測する装置である。本実験の脳の測定部位は, 大脳の前頭連合野で, 運動・感覚・認知・言語・思考など高次脳機能に関連する。  実験方法は, 成人女性15名に対して, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという作業を課し, 各調理の手順における脳活動の計測を行った。  計測の結果, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという調理の各手順で, 左右の大脳半球の前頭連合野の活性化が確認された。  音読や計算による脳の活性化の確認やそれらを組み合わせた学習療法による実践的研究や本実験結果から「調理を行うこと」によって前頭連合野を鍛えることができると考えられ, 前頭連合野の働きである他者とのコミュニケーションや身辺自立, 創造力など社会生活に必要な能力の向上が期待されることが示唆された。
著者
川島 隆太
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

疲労やストレスによるパフォーマンスの低下が、脳のどの領域の働きの変化と関連するのかを、非侵襲的脳機能イメージング手法を用いた基礎研究によって明らかにし、さらに、認知心理学的研究を追加することによって、健常成人の疲労やストレスによる認知機能の変化を定量的に評価可能なシステムを開発することが本研究の目指す最終的な目的である。平成20年度は、機能的NIRsを用いて、健康な右利き大学生6名を対象として、連続単純計算による精神疲労負荷時の前頭前野活動を計測したが、疲労に伴う変化を計測できなかった。このため、精神疲労モデルを再構築することが必要であると判断し、心理学研究を展開した。健康な右利き大学生30名を対象として、内田クレペリンテスト(連続単純計算)による精神疲労の状態を、認知心理学的手法によって経時的に観察した。その際に、バランス栄養流動食を摂った場合と、水のみ摂取した場合の2条件を設定した。水のみ摂取した場合には、VAS法による精神疲労の内観が時間と共に増加し、単純計算の作業量も減少する傾向にあったが、流動食を摂った場合には、開始後1時間半までは、精神疲労の内観も単純計算の作業量も減少しないこと、1時間半以降は、水のみ摂取群と同様に精神疲労度の内観も、作業量も低下することがわかった。先行研究では、ブドウ糖のみ摂取した場合には、水のみ摂取と同じ疲労傾向を示すこともわかっており、朝食の摂取パターンによって、精神疲労とそれに伴うパフォーマンスの低下の程度に差が出ることがわかった。
著者
粂川 一也 小久保 温 佐藤 和則 川島 隆太 山田 健嗣 福田 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.308-313, 2000-03-25
被引用文献数
9 or 0

病院間における高速データ通信の需要には, コンピュータトモグラフィー(CT)等の画像データの転送や, ビデオ会議システムにより診断, 研究の議論を行うことなどがある.本論文では, 仙台市内の病院間に, 空間光伝送を利用した155Mbps ATM無線LANを構築し, 天候による影響を長期にわたって観測した.測定期間中, 霧及び降雪による回線断が発生したが, 降雨による回線断は観測されなかった.霧による回線断は早朝及び日没以降に発生しているので, 主な回線利用時間帯での影響は少ない.また, 全体を通して回線断の頻度は低く, 10Mbps以上での回線稼働率は99.4%であり, 空間光伝送によるLANの有用性が示された.