著者
保科 斉生
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

1989年に提唱された衛生仮説では、衛生的な生活環境が整うにつれて、アレルギー疾患が増加すると説明しています。近年、日本では炎症性腸疾患を患う方が増加傾向にあり、生活の質の低下、免疫抑制療法による弊害等が問題となっています。欧米では豚の寄生虫である豚鞭虫にわざと感染し、腸管免疫の暴走を抑えるという方法がこれまでにいくつかの研究で実施され、安全性の確認と、一部の研究ではその有用性が報告されています。本研究では、これまで評価の対象となっていなかった日本人の炎症性腸疾患患者さんやその他の自己免疫疾患を対象に、この療法の安全性・有効性を評価します。
著者
川尻 将守 渡邊 尚 井上 愛 岩谷 理恵子 平塚 明倫 保科 斉生 山本 泉 丸山 之雄 大城戸 一郎 横尾 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.31-35, 2021 (Released:2021-01-28)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID‒19)が世界中で拡大し,感染による急性腎障害(acute kidney injury: AKI)の発生に伴い透析を必要とする患者が増加している.血液浄化装置を介した感染拡大を防ぐ必要があるが,装置の汚染状況が不明確なため,現在は約10日間装置をウイルスから隔離した状態で静置した後,他の患者へ使用する運用を行っている.今回,COVID‒19患者の血液透析に使用した直後の血液浄化装置に新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2: SARS‒CoV‒2)が存在するか調査し,今後の装置の運用に役立てることを目的とした.血液浄化装置の9か所で採取した検体において逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcription polymerase chain reaction: RT‒PCR)検査はすべて陰性であった.COVID‒19患者に使用後の装置待機期間短縮は慎重に検討すべきであり,検体の採取箇所や環境等の条件を変更した追加調査が必要と考える.