著者
川尻 将守 渡邊 尚 井上 愛 岩谷 理恵子 平塚 明倫 保科 斉生 山本 泉 丸山 之雄 大城戸 一郎 横尾 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.31-35, 2021 (Released:2021-01-28)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID‒19)が世界中で拡大し,感染による急性腎障害(acute kidney injury: AKI)の発生に伴い透析を必要とする患者が増加している.血液浄化装置を介した感染拡大を防ぐ必要があるが,装置の汚染状況が不明確なため,現在は約10日間装置をウイルスから隔離した状態で静置した後,他の患者へ使用する運用を行っている.今回,COVID‒19患者の血液透析に使用した直後の血液浄化装置に新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2: SARS‒CoV‒2)が存在するか調査し,今後の装置の運用に役立てることを目的とした.血液浄化装置の9か所で採取した検体において逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcription polymerase chain reaction: RT‒PCR)検査はすべて陰性であった.COVID‒19患者に使用後の装置待機期間短縮は慎重に検討すべきであり,検体の採取箇所や環境等の条件を変更した追加調査が必要と考える.
著者
森實 雅司 讃井 將満 岩谷 理恵子 高橋 由典 上岡 晃一 山香 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.423-425, 2017-07-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
3
被引用文献数
1

【目的】急性期病院における持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy, CRRT)関連業務の実情は明らかでない。CRRT関連業務の発生時間帯および管理体制について多施設実態調査を行った。【対象と方法】24施設において2013年1月から12月までに行われたCRRT 1,785例6,024回路交換を対象とし,初回CRRTの導入および回路交換が行われた時間帯別総数および管理体制を臨床工学技士(clinical engineer, CE)の24時間院内常駐体制(以下,CE常駐)の有無で比較した。【結果】CE常駐ありの施設は12施設(50%)であった。8~17時:17~8時の初回CRRT導入および回路交換の総数の比はそれぞれ50.4:49.6,70.6:29.4であった。CE常駐なしの施設における夜間のプライミングや返血操作は多くが医師・看護師によって行われ(P<0.05),CE常駐ありの施設に比べて実施が控えられていた(P<0.01)。【まとめ】CRRT関連業務は昼夜を問わず発生するが,CEの24時間院内常駐体制を整備している施設の割合は高くなく,CRRT関連業務に関わる職種とその実施状況はCEの夜間勤務体制に影響されていることが明らかとなった。