著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 浜野 真理子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.415-419, 1986

電気自動圧力鍋を用いて精白米を炊飯した際の炊飯特性について検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 圧力鍋炊飯は, 常圧釜炊飯に比して温度上昇が早く, 内部温度が高く, 炊飯時問が短い.<BR>2) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く, 黄色味をおび, 老化速度がおそい傾向を示した.<BR>3) 圧力鍋炊飯が常圧釜炊飯より粘りが強いのは, 高温加熱により, 飯粒の組織が崩壊し, そのため飯粒の周囲部に付着するデンプン量が多く, これが粘りの原因と考えられる.<BR>4) 圧力鍋炊飯は, 粘りが強くなることが特徴であり, 粘りの少ない米での食味改善が期待できる.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.292-294, 1979

モチ米, ウルチ米の精白米粉末ならびにデンプン試料についてアミログラムによる粘度試験を行いつぎの結果を得た.<BR>1) モチ米, ウルチ米の精白米粉末のアミログラムからは最高粘度はウルチ米が大でモチ米は小となり膨潤しにくく, 崩壊度でもウルチ米は大となるがモチ米は小で崩壊しにくい値を示した.<BR>2) デンプン粒のモチ米, ウルチ米のアミログラムからは最高粘度はモチ米デンプンが大でウルチ米デンプンは小となり, 崩壊度でもモチ米デンプンは大となるがウルチ米デンプンは小で崩壊しにくい値を示し, デンプンレベルではモチ米がウルチ米より高い最高粘度を示し, 精白米のモチ米, ウルチ米の成績と逆の結果が得られた.<BR>米飯の粘着度はモチ米は大で, ウルチ米は小であった.デンプン粒の最高粘度は同様にモチデンプンは大でウルチデンプンは小であった.一方, 精白米粉末の場合はモチ米の最高粘度は小で, ウルチ米は大であった.これはモチ米デンプンに対して脂質あるいはタンパク質がとくに影響を与えているためでないかと考えられる.<BR>3) 種々の濃度 (5, 8, 10%) のモチ米, ウルチ米デンプンのアミログラムの結果, 各濃度においてモチデンプンはウルチデンプンに比較して最高粘度は大であった.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 安立 清一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.666-671, 1979

米菓を製造するときの蒸煮条件および冷却条件と米菓の品質や生地の糊化, 老化との関係をおもにアミログラム, 焼き上げ生地容積, 硬度等で検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 焼き上げ生地の品質を容積, 硬度から検討した結果では, 蒸煮条件においては110℃蒸煮は99℃蒸煮よりも容積が大で, 軟らかな焼き上げ生地が得られた.また110℃に蒸煮した生地を冷却した場合では凍結, 流水中冷却の品質がよく, 室温, 冷蔵庫冷却はよくなかった.そして冷却時間では15分冷却がよく, 24時間冷却すると品質が低下した.<BR>2) 蒸煮および冷却後脱水乾燥生地のアミログラムからは蒸煮条件においては110℃, 10分以上蒸煮すると初発粘度が高い値を示し, 粘度上昇はみられず, たんに温度変化とともに粘度が多少変化するのみで未糊化生地と考えられるピークはみられず糊化されていることが明らかとなった.99℃は20分蒸煮しても初発粘度が低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられ糊化は完全には行われていなかった.<BR>蒸煮後冷却条件を検討した結果, いずれの冷却方法においても110℃蒸煮にみられたような一直線の曲線はみられなかったが, 凍結, 流水中冷却は初発粘度が高い値を示し, 室温冷却は低い値を示した.冷却時間では15分に比して24時間はいずれの冷却方法とも各特性値が低い値を示す傾向がみられた.<BR>3) 以上のように米菓の品質は蒸煮条件では糊化が完全に行われた110℃蒸煮のほうが糊化が不十分な99℃蒸煮よりも品質がすぐれており, アミログラムとの関係では品質の良い生地は初発粘度が高く, 未糊化生地と考えられるピークはみられないが, 品質の良くない生地は初発粘度低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられた.一方冷却条件では凍結, 流水中冷却の品質が良く, 室温, 冷蔵庫冷却は品質がよくなかった.そして品質の良い生地は初発粘度が高く, 良くない生地は逆に低い値を示した.最高粘度, 冷却最終粘度においてもだいたい同様な傾向を示した.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 安立 清一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.666-671, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

米菓を製造するときの蒸煮条件および冷却条件と米菓の品質や生地の糊化, 老化との関係をおもにアミログラム, 焼き上げ生地容積, 硬度等で検討し, 次の結果を得た.1) 焼き上げ生地の品質を容積, 硬度から検討した結果では, 蒸煮条件においては110℃蒸煮は99℃蒸煮よりも容積が大で, 軟らかな焼き上げ生地が得られた.また110℃に蒸煮した生地を冷却した場合では凍結, 流水中冷却の品質がよく, 室温, 冷蔵庫冷却はよくなかった.そして冷却時間では15分冷却がよく, 24時間冷却すると品質が低下した.2) 蒸煮および冷却後脱水乾燥生地のアミログラムからは蒸煮条件においては110℃, 10分以上蒸煮すると初発粘度が高い値を示し, 粘度上昇はみられず, たんに温度変化とともに粘度が多少変化するのみで未糊化生地と考えられるピークはみられず糊化されていることが明らかとなった.99℃は20分蒸煮しても初発粘度が低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられ糊化は完全には行われていなかった.蒸煮後冷却条件を検討した結果, いずれの冷却方法においても110℃蒸煮にみられたような一直線の曲線はみられなかったが, 凍結, 流水中冷却は初発粘度が高い値を示し, 室温冷却は低い値を示した.冷却時間では15分に比して24時間はいずれの冷却方法とも各特性値が低い値を示す傾向がみられた.3) 以上のように米菓の品質は蒸煮条件では糊化が完全に行われた110℃蒸煮のほうが糊化が不十分な99℃蒸煮よりも品質がすぐれており, アミログラムとの関係では品質の良い生地は初発粘度が高く, 未糊化生地と考えられるピークはみられないが, 品質の良くない生地は初発粘度低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられた.一方冷却条件では凍結, 流水中冷却の品質が良く, 室温, 冷蔵庫冷却は品質がよくなかった.そして品質の良い生地は初発粘度が高く, 良くない生地は逆に低い値を示した.最高粘度, 冷却最終粘度においてもだいたい同様な傾向を示した.