著者
光永 徹 志水 泰武
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

サイプレス材精油(CEO)を吸入した高脂肪食で飼育したマウスの肥満抑制効果が認められた。その作用機構を解明するために,CEOの匂い刺激を与えたラットの肩甲骨間褐色脂肪組織支配の交感神経活動(BSNA)を測定した。CEOは成分分画の結果,(-)-Citronellic acid (CA), guaiol, α, β-, γ-eudesmol 混合画分(GE), guaiol (G) and β-eudesmol fraction (E)の各画分を得た。それらのBSNAを測定したところ,CAは全く活性に影響しなかったが、GE画分およびGはBSNAの活動を大きく亢進する事を明らかにした。
著者
光永 徹 徳田 迪夫
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では樹皮の浄化作用の一つである消臭作用に着目し、樹皮抽出物中の縮合型タンニンおよびそのアセトアルデヒド付加縮合変性物のアンモニアとメチルメルカプタンに対する消臭活性メカニズムを分子軌道計算結果から明らかにすることを目的としている。平成13年度はヘッドスペースガスをGC/MSで分析する消臭試験を行ったところ、従来のデシケータ法に比べ圧倒的に再現性があると同時に、少量の試料で試験ができる点が改善され、信頼性のより高い消臭試験を確立した。その結果、樹皮由来の縮合型タンニンおよび茶抽出物のポリフェノールはアンモニアに対しては良好な消臭活性(消臭率70〜100%)を示したが、メチルメルカプタンに対しては柿抽出物以外はほとんどその効果を示さないことが明らかとなた。用いた柿抽出物は、渋柿を熱水で抽出し熟成させたものであるため、柿の生体内で蓄積されるアセトアルデヒドと縮合型タンニンが付加縮合してできる高分子不溶性物質であると考えられた。そこでアカシア樹皮由来のワットルタンニンを用いてアセトアルデヒドとの付加縮合物を合成し、その消臭活性を検討したところ、メチルメルカプタンに対し85%以上の良好な消臭活性を示すことを明らかにした。平成14年度はメチルメルカプタン分子の捕捉サイトを明らかにする目的で、付加縮合物のカテキンdimerの半経験法による分子軌道計算を行ったところ、ジフェニルメタン炭素原子上(付加縮合サイト)には分子上で一番大きなプラスのチャージが存在し、メチルメルカプタン分子の硫黄原子の大きいマイナスチャージがこのサイトに引き寄せられることが予測された。また静電ポテンシャルのマッピングの結果その分布状態が大いに消臭活性と関連することを明らかにした。