著者
秋友 達哉 光畑 智恵子 太刀掛 銘子 新里 法子 岩本 優子 達川 伸行 櫻井 薫 香西 克之
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.374-381, 2019-06-25 (Released:2020-01-31)
参考文献数
9

広島大学病院は2013年9月に医科歯科それぞれの外来を統合し,より緊密な医科歯科連携が可能となった。この度,外来診療棟移転後である2015年度に当院小児歯科を受診した知的障害児(者)を対象に,歯科治療の実態調査を行い,移転前である2004年度および2009年度における当科の実態と比較し,以下の結果を得た。1.2015年度に来院した知的障害児(者)は312名(男児214名,女児98名),延べ1,538名であった。そのうち147名については,2009年度より当科を継続的に受診していた。2.年齢分布は7歳~12歳が35.5%と最も多く,次いで13歳~18歳が33.6%であり,2004年度および2009年度と著変なかった。3.患児(者)の障害の種類は,自閉症が41.9%と最も多く,次いで知的障害のみが34.6%,Down症10.8%,脳性麻痺10.2%であった。2009年度と比較し知的障害のみの占める割合が増加した。4.診療内容は歯科衛生実地指導が34.8%,歯石除去が24.3%,形成充填が14.8%であった。過去の調査と比較し,歯科衛生実地指導が顕著に増加した一方,形成充填・既製冠修復は減少していた。5.対象者の58.1%に対し,体動コントロールを行っていた。行動変容法においては,視覚支援の使用が経年的に増加していた。
著者
三浦 梢 大谷 聡子 鈴木 淳司 海原 康孝 光畑 智恵子 小西 有希子 河村 誠 香西 克之
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-19, 2011-03-25
参考文献数
17

近年,小児の歯肉のメラニン色素沈着は受動喫煙が関係しているとの報告が多くある。しかし受動喫煙環境下にない小児の歯肉にもメラニン色素がみられることがあり,これについて検討を行った報告はあまりない。そこで,小児の歯肉のメラニン色素沈着の要因となる可能性のある項目ついて研究した。3~11 歳の日本人小児50 名を対象に,歯肉のメラニン色素沈着を,沈着濃さと沈着範囲の2 項目で判定した。沈着濃さは「ない」「極めて薄い」「薄い」「濃い」の4 段階で,沈着範囲はHedin の分類を参考に「0」色素沈着を認めない,「1」1~2 箇所の独立した沈着を認める,「2」3 箇所以上の独立した沈着を認める,「3」色素沈着が帯状をなし左右で独立している,「4」色素沈着が帯状をなし左右で連続している,の5 段階で評価した。調査項目は口呼吸,上顎前歯部歯肉の腫脹,笑った時の上顎歯肉の露出,皮膚の色,日焼け,頭髪の色,唾液中のコチニン濃度,同居者の喫煙状況(同居者の現在および過去における喫煙,喫煙年数あるいは禁煙後の経過年数,喫煙場所,タバコの銘柄,日平均の喫煙本数,同居者以外からの受動喫煙の可能性),偏食,年齢である。これらの項目とメラニン色素沈着との関係を統計学的に分析した結果,「沈着濃さ」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色,口呼吸,年齢が,「沈着範囲」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色がそれぞれ正に相関した。