著者
徳本 圭伊子 土田 和範 河村 誠 中村 正一 長谷川 健二 岩本 義史
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.923-930, 1985-12-28
被引用文献数
2 1

25〜57歳の歯周炎を有するボランティア8名を対象に,水性基剤にテトラサイクリンを配合した軟膏(TG軟膏)および基剤のみのプラセボを,2週間に8回,ルートキャナルシリンジを用いてポケット内に直接投与し,その効果を,2日,1週間,2週間,4週間後に細菌学的に検索した。また臨床的にも検討を加えた。その結果,TG軟膏を局所投与した部位は,2日目から全菌数が有意に減少した。さらにspirochetesの割合の有意な減少と,coccoid cellsの割合の有意な増加が見られ,菌叢が有意に変化していた。これに対しプラセボ投与部位では,全菌数は1週間目と2週間目で有意な減少が見られたものの,4週間目では初診時と差のないレベルに戻っていた。spirochetes, coccoid cellsの割合は実験期間中有意差がなく,菌叢は変化しなかった。臨床的には,TG軟膏投与群は,4週間目までに歯周に関する各指標の改善が見られた。
著者
河村 誠治
出版者
山口大学
雑誌
東亞経濟研究 (ISSN:09116303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.27-36, 2005-07-31

The opening of Hong Kong Disneyland in 12 Sep. 2005 is not only a starting business in one tourism company, but also a beginning of public practice by Hong Kong Government driveninto a corner as a result of development of East Asian economy especially Chinese economy. It means that the economic development in East Asia included Hong Kong needs the development of a market economy as well as a planned economy. We are not yet clear whether Hong Kong Disneyland will become a last resort for the regeneration of Hong Kong's economy or not, but it is not too much to say that the position of Hong Kong will decline relatively with the development of globalization and international division of labor, further development of Chinese economy, and the east coastal cities in China's mainland becoming megalopolis. But this also means that absolutely, as a whole, more and more visitors, merchandises, and money capital will move through Hong Kong.
著者
笹原 妃佐子 河村 誠 清水 由紀子
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.196-207, 2004-07-30
参考文献数
14
被引用文献数
15

選挙人名簿抄本から無作為に抽出した広島市住民に対して,郵送による質問紙調査を行った.質問紙では,性別や年齢などの属性,健康状態や歯科への受診行動について尋ねた.郵送した1,200名のうち,635名より返送があり,「定期的に歯科健診を受けていますか」の質問に回答のあった611名分について,定期的な歯科健康診断を支える要因を検討した.その結果,5つの要因が抽出された.Logistic回帰分析を行ったところ,この5つの要因のうち,最も定期歯科健診への影響力が大きかったのは『歯の健康に対する関心の因子』であり,学校や地域における歯科保健教育の重要性が示唆された.2番目に影響力が大きかったのは『歯科治療に対する感情の因子』であり,歯科診療時の麻酔薬や麻酔方法,切削器具等の改良により,歯科治療を受ける者の疼痛や不快感を減じる不断の努力が望まれた.3番目の要因は『地域密着性の因子』であり,歯科医が患者の信頼を受けるにたる治療を行い,定期歯科健診の必要性をアピールすることが必要であると考えられた.4,5番目の要因はそれぞれ『医師信頼性の因子』,『経済面の因子』であった.
著者
山田 潔 河村 誠
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.36-55, 2022 (Released:2022-02-20)

障害者とメディアの関係性について、「コロナ禍」と「パラリンピック」をテーマに、2回に分けて取りあげる。いずれも、自分に関わる事として障害者の関心が高いうえ、社会全体のあり方にもつながる事柄である。 前編である今回は、2021年3月に実施した「コロナ禍での障害者の情報接触に関するインターネット調査」を軸に、コロナ禍のもと、障害者がどのように暮らし、どんな情報を求め、取得をしたのかを探った。あわせて、情報へのアクセシビリティーサービスや番組の受け止め方などについて考察した。その結果、『暮らし』に関しては、在宅勤務の増加とともに、失業など経済的に困窮する人が少なからず存在すること。また、マスク着用や直接触れられないことで周囲の情報の得ることに困難を感じ悩む姿が浮かび上がった。次に、「情報の取得」では、在宅時間が長くなり、テレビ視聴が増えた人がいる一方で、内容面に満足できずにかえってテレビを見なくなっている人も存在した。また、聴覚障害者で、字幕などのアクセシビリティーの確保を特に重視していること。「予防方法」や「医療機関のひっ迫」などの情報を、障害者はより必要としていることなどが分かった。こうした障害者それぞれの本音について考察し、後編の「パラリンピック放送の受け止めに関する調査」につなげていく。
著者
中居 伸行 貞森 紳丞 河村 誠 笹原 妃佐子 濱田 泰三
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.163-172, 2004-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
18
被引用文献数
7 9

目的: Oral Health Impact Profile (OHIP) はオーストラリアで開発された口腔QOLの評価法であり, 近年では, ほかの国々でも徐々に使用され始めている. 今回われわれは, OHIPの原版 (英語版) を日本語に翻訳し, 日本での使用の妥当性を確認した。方法: 本研究は2力国語に通じたもの (39名) を対象に, 原版と邦訳版の回答を比較・検討した. OHIPの翻訳の妥当性は項目ごとの一致率とλ係数 (対象性評価の指標) によって分析した.結果: 尺度ごとの平均一致率はそれぞれ, 「機能的な問題」75%, 「痛み」76%, 「不快感」69%, 「身体的困りごと」79%, 「心理的困りごと] 77%, 「社会的困りごと」90%, 「ハンディキャップ」85%であった. 全49項目中41項目は0.4以上のλ係数を有し, 高い一致性が認められた. 上記7尺度のα信頼性係数は, 原版では0.76-0.90, 翻訳版では0.77-0.89にあり, 日英両版の尺度の内的妥当性が変わらないことが示唆された. 日英両版における7尺度のSpearmanの順位相関係数は0.83-0.92 (p<0.001) で, 優位な相関性を示した.結論: 日本語版OHIPは, このように高い信頼性と翻訳の妥当性を有することから, 日英の2言語間で使用可能であることが示唆された.
著者
笹原 妃佐子 河村 誠 河端 邦夫 戸田 信彦 土田 和範 岩本 義史
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.807-814, 1995-10-30 (Released:2017-10-06)
参考文献数
10

近年,自然科学系の研究者のみならず社会科学系の研究者においても,解析手段としての統計学はますますその重要性を増している。しかし,研究者は,通常,統計学における検定結果を第1種の過誤を犯す確率αによって解釈し,第2種の過誤を犯す確率βについて考慮することはほとんどない。本研究では,既存の有限母集団から,ある一定の大きさの標本を繰り返し抽出する実験を行った。母相関係数の異なる二つの有限母集団(母相関係数; 0.215,0.650)それぞれについて,標本の大きさとβについて検討し,再現性のある結果を得るための妥当な標本の大きさについて考察を加えた。有限母集団の一つは,幼児の母親から得られた2847組の歯科保健行動目録(HU.DBI)と口腔評価指数(ORI)のデータであり,その相関係数は0.215であった。他の一つは,2885組の大学新入生の身長と体重のデータで,その相関係数は0.650であった。それぞれの母集団から,標本の大きさが25,50,100,200,300,400の標本をランダムに100回ずつ抽出し,得られたすべての標本において. HU-DBIとORIの順位相関係数,ならびに,身長と体重の相関係数を計算した。その結果,母相関係数0.215 (P<0.001)のHU-DBIとORIのデータでは,有意水準を5%(α=0.05)とすると,標本の大きさが100の場合,全体の51%の標本で帰無仮説が棄却され,標本の大きさが400の場合, 99%の標本で帰無仮説が棄却された。つまり,標本の大きさが100の場合,βは0.49,標本の大きさが400の場合,βは0.01であった。一方,母相関係数0.650 (p<0.001)の身長と体重のデータでは,標本の大きさが50以上では,帰無仮説はすべての標本で棄却された。つまり,標本の大きさが50以上で,βは0.00を示した。以上の結果から,ある標本において,2変数間の相関係数の有意性が危険率5%以下で確認されたとしても,その標本の大きさが小さい時には,別の標本において同様の結果を得る確率は必ずしも高くないことが示唆された。即ち,第1種の過誤を犯す確率(危険率)が5%以下であったとしても,ある程度の標本の大きさが確保されていない場合には,結果の再現性はあまり期待できないと考えられる。
著者
三浦 梢 大谷 聡子 鈴木 淳司 海原 康孝 光畑 智恵子 小西 有希子 河村 誠 香西 克之
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-19, 2011-03-25
参考文献数
17

近年,小児の歯肉のメラニン色素沈着は受動喫煙が関係しているとの報告が多くある。しかし受動喫煙環境下にない小児の歯肉にもメラニン色素がみられることがあり,これについて検討を行った報告はあまりない。そこで,小児の歯肉のメラニン色素沈着の要因となる可能性のある項目ついて研究した。3~11 歳の日本人小児50 名を対象に,歯肉のメラニン色素沈着を,沈着濃さと沈着範囲の2 項目で判定した。沈着濃さは「ない」「極めて薄い」「薄い」「濃い」の4 段階で,沈着範囲はHedin の分類を参考に「0」色素沈着を認めない,「1」1~2 箇所の独立した沈着を認める,「2」3 箇所以上の独立した沈着を認める,「3」色素沈着が帯状をなし左右で独立している,「4」色素沈着が帯状をなし左右で連続している,の5 段階で評価した。調査項目は口呼吸,上顎前歯部歯肉の腫脹,笑った時の上顎歯肉の露出,皮膚の色,日焼け,頭髪の色,唾液中のコチニン濃度,同居者の喫煙状況(同居者の現在および過去における喫煙,喫煙年数あるいは禁煙後の経過年数,喫煙場所,タバコの銘柄,日平均の喫煙本数,同居者以外からの受動喫煙の可能性),偏食,年齢である。これらの項目とメラニン色素沈着との関係を統計学的に分析した結果,「沈着濃さ」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色,口呼吸,年齢が,「沈着範囲」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色がそれぞれ正に相関した。
著者
笹原 妃佐子 島津 篤 河村 誠 田口 則宏 小川 哲次
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.53-60, 2012-01-30
被引用文献数
1

中学生という時期は,身体的,精神的に大きな変動を遂げる時期である.そのため,歯科保健指導を行うにしても,中学生という年齢に特化した方法を検討する必要がある.本研究では,研修歯科医による歯科保健指導の1か月後,指導を受けた中学生に健康や身体に関わる身の回りに対する考え方と,歯科保健指導後の変化を尋ねる質問紙調査を行い,その回答から,歯科保健指導の効果に影響する要因を分析した.その結果,[自分で健康を守るべきだ]と考える中学生に歯科保健指導後に[以前よりよく歯をみがくようになった]と回答した者が多かった(オッズ比1.96).それに対して,[ファッション]に興味のある中学生には歯科保健指導内容の多くの項目が印象の薄いものであった.この結果から,中学生には,個々の疾病に対する健康教育を行うだけでなく,健康は保護者任せではなく,自分で守るものであるという意識を植え付けるための教育が必要と考えられた.また,歯口清掃は,[ファッショナブルである]と思わせるような指導方法を行えば,[ファッション]に興味のある中学生にも興味を抱かせることができるのではないかと思われた.
著者
河村 誠治 白石 嘉孝 簑原 亨 近藤 富士雄 梅崎 典良 石橋 正敏 森田 誠一郎
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, 1991-08-01

(1) 平均排尿間隔は約2時間であった。(2) 初回尿中放射能は総排泄放射能の約80%と推定される。(3) 初回排尿時間を^<99m>Tc-MDP投与後50分前後にすることにより現状の膀胱壁被曝を約40%低減できると推定された。
著者
宮城 昌治 藤岡 道治 山崎 俊二 福永 真佐美 笹原 妃佐子 河端 邦夫 長尾 誠 河村 誠 森下 真行 岩本 義史
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-30, 1993-05-06
被引用文献数
7

本論文の要旨は平成4年6月の日本口腔衛学会近畿・中国・四国地方会総会において発表した。本研究は一部平成3年度文部省科学研究費(一般研究(C)No.01571122)によった。
著者
笹原 妃佐子 貞森 紳丞 津賀 一弘 河村 誠
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.148-155, 2006-04-30
被引用文献数
2

本研究では,質問紙により顎関節症の罹患状況の現状と経過を把握し,その現状や経過とデンタルプレスケール^[○!R]を使用した咬合の状態との関連を検討することを目的に疫学調査を行った.最初に,大学もしくは専門学校の1年次生に,顎の状態を尋ねる質問紙調査を行った.その後,1名の検者が感圧フィルム-デンタルプレスケール^[○!R](50H: Rタイプ,富士フィルム社製)を用いた咬合の状態の診査(有効咬合面積の割合,咬合面積,平均咬合圧,最大咬合圧および咬合力),および最大開口量の測定を行った.分析は,18歳から20歳までの男性359名,女性336名の計695名について行った.その結果,約半数の学生が顎の異常を経験していたが,調査時点で日常生活の不都合を訴えたものは少なかった.顎の異常を経験した学生のほとんどで症状は改善もしくは無変化であり,悪化を経験した者はまれであった.しかし,治療で症状の改善した者はわずか21名であった.顎関節症の罹患状況と咬合の状態との関連では,女性において,顎の状態の良い者ほど咬合接触面積が広く,咬合力が大きかったが,男性では,顎の状態の良い者ほど有効咬合接触面積の割合が小さく,最大咬合圧が大きかった.そこで,顎関節症は思春期には非常に一般的な疾患ではあるが,重症者は少なく,自然治癒が起こりうる疾患であると思われた.しかし,顎関節症の自覚症状と咬合の状態との関連については,性差の原因が不明であり,今後の検討が必要である.
著者
河村 誠 笹原 妃佐子 岩本 義史
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.151-157, 1997-04-30
被引用文献数
8

喪失歯数に関する患者の主観的評価の妥当性を検討する目的で,一般歯科医院に来院した40歳以上の患者145名(男性74名,女性71名)に質問紙調査と口腔診査を実施した。その結果,以下の点が明らかになった。1. 喪失歯数(実際の喪失歯数)と患者の年齢との間に正の相関関係が認められた(r=0.397,n=145 ; p<0.001)。しかし,喪失歯数は個人間のバラツキが大きく,患者の年齢から喪失歯数を推定することは困難であった。2. 自己申告された喪失歯数と実際の喪失歯数の関係は,2次回帰式で表現するのが適当と考えられた(R=0.832, n=137 ; p<0.001)。また,喪失歯数が中程度の者では,実際よりも喪失した歯の数を少なめに報告していた。3. 40歳代の患者に比べ,60歳以降の患者では喪失歯数を実際より少なめに報告する傾向が強かった(p<0.01)が,性差はみられなかった。以上のことから,自己申告された喪失歯数と実際の喪失歯数の間には,ある程度違いはあるものの,患者の報告から喪失歯数を推定することの妥当性が確認された。また,このような患者のセルフチェックは8020運動を推進する上で有用であることが示唆された。