著者
長弘 千恵 趙 留香 馬場 みちえ 児玉 尚子 尾坂 良子 吉永 一彦 畝 博
出版者
九州大学
雑誌
九州大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:02862484)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.27-38, 2001-03
被引用文献数
1

1972年にBreslowらによりライフスタイルが身体杓および精神的健康に影響を与えるという研究が報告された。それ以降,わが国においては生活習慣と健康に関する研究が増加してきた。大学生を対象にした生活習慣と健康状態に関する調査では,望ましい生活習慣をもつ学生は健康状態がよく,欠席日数も少ないと報告されているが,韓国においては最近のこの種の調査は少ない。予防医学的な見地から20代の年齢層が盲点的存在であるされ,青年期の生活習慣に対する教育のあり方が問われている。また,看護職の保健行動が患者の保健行動に強く影響するという報告もあり,将来看護職となる学生の生活習慣に関する調査は重要であり,種々の報告がなされているが健康状態との関連を報告するものは少ない。今回,生活習慣と主観的健康度との関連を検討する目的で,日本と韓国の看護大学の学生を対象にOkayama Medical Index (OMI)健康調査表を用いて留め置き調査を行った。回収率は日本71.1%,韓国61.5%であった。内的整合性に基づく信頼係数Cronbachのα係数は0.98〜0.71の範囲にあり,回答用紙の信頼性は高いと考え,解析を行った。対象者の平均年齢は日本20.41歳,韓国22.69歳と韓国が高く,年齢による交絡因子を避けるため年齢を調整した。睡眠時間,喫煙については韓国が日本よりも望ましい生活習慣の学生が多かった。飲酒,朝食,間食については日本の学生が韓国より望ましい生活習慣の学生が多く,運動習慣については差はみられなっかた。主観的健康状態については全身症状15項目のうち10項目ですべて韓国が訴えが多く,各器官症状64項目について33項目すべて韓国の学生が日本より訴えが多かった。精神気質については差異は認められなかった。
著者
厚川 和哉 尾脇 重信 児玉 尚子 矢野 幸彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A1099-A1099, 2008

【目的】ブリッジ動作は大殿筋やハムストリングスの筋力強化を目的として幅広く用いられている。しかし、我々は大殿筋の筋特性として、1.殿筋筋膜等を介して様々な筋と筋連結している、2.遅筋線維が多く関節を動かす推進力としての働きが少ない、3.神経支配比が大きく筋紡錘密度が低い等の知見を得、ブリッジ動作を用いての大殿筋の筋力強化訓練としての有効性に疑問を抱いた。さらに先行研究において、表面筋電図を用いてブリッジ動作における大殿筋の筋活動量を測定したが、被験者間に著しい差を認め、ブリッジ動作においては大殿筋以外にも他の筋群が作用している可能性が示唆された。以上をふまえ、本研究ではすでに測定したブリッジ動作に加え、同筋の活動が強く影響されるADL動作として立ち上がり動作を用い、筋活動量を測定し、大殿筋に対する筋力強化訓練としてのブリッジ動作の有効性をさらに研究していくことを目的とした。<BR>【方法】被験者は19名(平均年齢28.1±4.3)の健常成人とし、右大殿筋に表面筋電図を貼付。測定肢位はA.左側臥位で右下肢をスリングで吊り上げ、背側から徒手的に骨盤を固定し、股関節の関節運動が生じないように被験者に指示し、等尺性収縮を5秒間保持させる。B.座位で股関節90°膝関節100°の状態から動作速度5秒間で立ち上がりを行うこととした。以上2条件を設定し、BIMUTUS VIDEO(キッセイコムテック)を用いてA.は筋電図波形から中央の3秒間、B.は離殿時からの中央3秒間の積分値を算出し、肢位の違いによる筋活動の差の比較、個人の筋活動の比率を比較し検討を行った。<BR>【結果及び考察】先行研究においては、側臥位とブリッジ動作の比率には0.5~6.6倍の幅を認め、χ2値より有意な差が認められた。側臥位と立ち上がり動作の比率は0.9~1.7倍で、有意な差が認められなかった。以上の結果から立ち上がり動作時における大殿筋の作用向上の目的で筋力強化を行う場合にはブリッジ動作よりも側臥位での選択的収縮を行うほうがより効果的であることが示唆された。さらに、ブリッジ動作では過剰な筋活動が行われている事が示され、動作獲得を目的とする訓練では、大殿筋の筋特性を踏まえ、感覚入力を与えながら訓練を行っていく必要があると考えられる。<BR>