著者
入交 英雄 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.215-223, 2013-05-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
8

録音における最適な残響の音量を明らかにするため,無響室録音のオーケストラ音源に電子残響音を付加し,録音エンジニアが最も好ましいと判断する残響音のミキシングレベルを,調整法によって調査した。一方,オーケストラ音源の音響信号のパワーと,その音響信号へ残響に相当する減衰エンベロープを適用した仮想残響信号のパワーとの比を,「エンベロープ指数=E値」と呼ぶ音響信号の特徴量として提案した。種々の無響室録音のオーケストラ楽曲に電子残響を付加するとき,おのおの最適と感じる残響のレベルとE値との関係を検討した結果,両者に高い相関関係が認められ,任意のオーケストラ楽曲のE値を計算することにより,その楽曲における残響の最適ミキシングレベルを推定できることが分かった。
著者
入交 英雄 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.29-34, 2008-12-12
参考文献数
3

オーケストラの録音において、ミキシング・エンジニアが最も好ましいと判断する残響音レベルを考察するため、 無響室録音のオーケストラ音源を用い電子残響を付加する実験を行った。調整法に準じた方法で残響音を最も好ましいレベルに調整し、そのときに含まれる残響音成分の割合を知るために建築音響で使用される直接音と間接音のエネルギ比の一種である C 値 (クラリティ・インデックス) という物理指標を導入した。その結果、残響音の最適ミキシングレベルにおいて、残響時間、及びモノ、ステレオ、クワドラフォニックという再生方法に関係なく C 値が一定となること、しかし楽曲の要因によって C 値が変動することが判った。The most preferable reverberation level for the recording of orchestra sounds by recording engineers was studied by a psycho acoustical experiment. The most preferable electric reverberation level to the orchestral sounds recorded in an anechoic chamber was measured by a method of adjustment. A physical index of C (Clarity Index) was used to measure the energy ratio between the direct sound and the indirect sound of the adjusted sounds. The obtained values of C from the most preferable reverberation were different among the music pieces. The reverberation time and the reproduction method (monophonic, stereophonic or quadraphonic) did not affect the C value.