著者
入山 八江 稲村 雪子 渡辺 優奈 川村 美和子 久志田 順子 牧野 令子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.511-523, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
26

日本は世界に類を見ない速さで高齢化が進み「超高齢社会」を迎えている。本研究の目的は、訪問栄養指導が在宅高齢者のQOL、BMI、疾病の改善に及ぼす効果を検証し、さらに、介護度や依頼元別の依頼内容の違いや特徴の実態を明らかにすることである。対象は2012~2020年の8年間に訪問栄養指導を受けた211人。栄養介入は、初回にアセスメントを行い最終回で評価した。主観的情報のQOLは、記録から事象を6カテゴリーに分類し、分析した。また、客観的情報が事前事後でそろう79人については、目的別に低栄養を回避し体重増加を目指す群、適正体重を維持する群、肥満の改善を目指す群の3群に分け分析した。その結果、増加群、減少群は共に体重に有意な改善が見られ、群間差が認められた。QOLの向上には、栄養と調理、行動変容が要因として有意に関連していた。訪問栄養指導の効果は、QOL、BMI、疾病の改善に有効であることが示唆され、介護度別、依頼元別に依頼内容の特徴が認められた。
著者
入山 八江 串田 修 村山 伸子 斎藤 トシ子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.139-155, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
34
被引用文献数
2

【目的】社員食堂を通して減塩に関する食環境と栄養教育を併用した介入を1年間実施し,勤労者の食塩摂取量の変化と,行動変容の要因に及ぼす効果を明らかにする。【方法】研究デザインは,施設単位の無作為化比較試験である。8施設を施設単位で環境教育群,環境群,対照群の3群に振分けた。社員食堂にトランスセオレティカルモデルに基づく健康情報を載せた卓上メモと滴下型醤油差しを設置し,また,調理従事者にみそ汁と麺つゆの食塩濃度を,初回の濃度を基準に1年かけて徐々に減らすよう指示した群を環境群とした。環境群の介入に加えて,栄養教育を年4~6回実施した群を環境教育群とした。解析対象者は男性216人,女性161人であった。食塩摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票から推定した。行動変容ステージ及びその他の要因を自記式質問票で調べた。【結果】食塩摂取量は,女性の環境教育群においては1年間で平均 0.4 g/1,000 kcal有意に減少し対照群との間に群間差が認められた。食塩摂取量が減少した要因として,女性は醤油,調味食塩の減少に加えて,食態度(減塩の意識),情報・食物へのアクセスが有意に向上し,男性では,食塩摂取量の変化はみられなかったが,前後比較において環境群の行動変容ステージが有意に前進した。【結論】減塩には,食環境介入に栄養教育を加えることが女性勤労者で有効であると示唆された。