著者
中川 晋一 八尾 武憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.633-640, 2009-07-15

私(中川)が2008年の10月13日に心筋梗塞を発症して4月で6カ月が経過した.幸運にも心臓カテーテルで処置のできる医療機関がいくつもある東京都の市部で,休日の午後8時前後という最も人的リソースのある時間帯で発症したため,難を逃れることができた.錆びついてはいるが10年ほど前まで,医師として救命救急の最前線での業務をこなしていたこともあり,知識のまったくない一般人ではなかったこともリテラシーとして役立った.しかし,意識下で情報通信の研究者として経験したことは,インターネットを用いた遠隔医療に関する技術開発1),2)を行ってきた者として,最近若干感じていたネットワーク技術や今回のライフログなどの関連技術が,いかに「研究者寄り」のものであり,急激に発症した一患者の生命を救うためには無力なものであるかを実感させた.今回のライフログ特集に寄せて,患者経験のある医師免許を持つ情報処理研究者として感じた経験を述べ,ライフログの実用化について検討したい.
著者
中沢 一雄 原口 亮 八尾 武憲 永田 啓 杉本 喜久 芦原 貴司 高田 雅弘 並川 寛和 岡田 靖士 吉本 幸平 古屋 直美 仙田 修司 植松 義之 五十嵐 健夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.81-86, 2005-11-10
参考文献数
16
被引用文献数
3

カルテの電子化を目的に,我々は紙カルテの柔軟性を自然な形で実現するペン入力インタフェースを開発した.このペン入力インタフェースには,入力支援だけでなく,入力したデータをレヴューするための効果的機能が備わっている.しかしながら,ペン入力による手書き文字のままでは2次利用が困難という問題がある.この論文においては,手書き文字に対する高度な枠なし認識機能および検索機能を備えることで,ペン入力インタフェースにおける入力データの2次利用の可能性を示す.枠なし手書き文字に対する認識機能によって,入力の都度,必要に応じて手書き文字からテキストデータに容易に変換することができる.さらに,一連の入力の後,2次利用可能なテキストデータに一括変換することも可能である.加えて,手書き文字の検索機能を使えば,特別なデータベース構造を作らなくても,手書き文字全体の中から目当ての文字列を検索することが可能である.
著者
中川 晋一 八尾 武憲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.633-640, 2009-07-15
参考文献数
7

私(中川)が2008年の10月13日に心筋梗塞を発症して4月で6カ月が経過した.幸運にも心臓カテーテルで処置のできる医療機関がいくつもある東京都の市部で,休日の午後8時前後という最も人的リソースのある時間帯で発症したため,難を逃れることができた.錆びついてはいるが10年ほど前まで,医師として救命救急の最前線での業務をこなしていたこともあり,知識のまったくない一般人ではなかったこともリテラシーとして役立った.しかし,意識下で情報通信の研究者として経験したことは,インターネットを用いた遠隔医療に関する技術開発1),2)を行ってきた者として,最近若干感じていたネットワーク技術や今回のライフログなどの関連技術が,いかに「研究者寄り」のものであり,急激に発症した一患者の生命を救うためには無力なものであるかを実感させた.今回のライフログ特集に寄せて,患者経験のある医師免許を持つ情報処理研究者として感じた経験を述べ,ライフログの実用化について検討したい.