著者
八幡 浩二
出版者
福山市立大学都市経営学部
雑誌
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban management : bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University (ISSN:2186862X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.65-100, 2019

民俗学者・宮本常一(1907-1981)は,1930年代から亡くなるまで,日本各地を旅した稀代のフィールドワーカーとして知られている.また,現地調査においては,まだ貴重であったカメラを使用し,行く先々でメモ代わりに記録撮影を行っている.それらは主に戦後日本における高度経済成長期(昭和30・40年代)にあたり,今となってはすっかり失われた情景である.そのために,宮本が遺した総数10万点にも及ぶ写真ネガは,貴重な資料群となっている.現在,それらは故郷である山口県大島郡周防大島町に設立された【周防大島文化交流センター(宮本常一記念館)】において保管され,そしてデジタル化されて,『宮本常一データベース』として,WEB上で広く公開されている.さて,宮本常一の足跡については,広島県福山市においても認められ,市内各所における写真が確認できる.そこで今回,改めて福山地域における写真の抽出作業を【周防大島文化交流センター(宮本常一記念館)】にて行った.本稿では,当地域における宮本の足跡を日記や著作物から辿るとともに,集成した写真の一部を紹介してみたい.また,これらは福山における戦後の地域史を考える上でも,貴重な資料であるといえる.
著者
八幡 浩二 内田 実 尾崎 光伸 中山 愉希江
出版者
福山市立大学都市経営学部
雑誌
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban management : bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University (ISSN:2186862X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.93-103,105-113, 2018

瀬戸内海のほぼ中央部に浮かぶ宇治島は、広島県福山市に属する周囲4.25km,面積0.52㎢の無人島である.宇治島では1983年(昭和58)と1984年(昭和59)の2回に亘り,広島大学考古学研究室によって発掘調査が行われたところ,島の北側に位置する「北の浜遺跡」からは,縄文時代から中世に及ぶ各時期の遺物が出土するとともに,古代海上交通に関する祭祀遺構が検出されるなど、貴重な成果が得られている.今回,新たな『福山市史 原始から現代まで』(2017年3月刊行)の編さん事業に伴い,遺跡の現状を把握することを目的として,宇治島北の浜遺跡の現地踏査を実施した.本稿では採集した遺物,及び遺跡の現状の報告,併せて今後の課題について記しておきたい.The Uji Island (or Ujishima as it is called in Japan) is located in the middle of the Setouchi Sea (also called Setonaikai). This island, 4.25 kilometers around with an area of 0.52 kilometers, belongs to Fukuyama city, Hiroshima prefecture, Japan.Hiroshima University Graduate School of Letters,Department of Archaeology excavated some parts of the island once in 1983 and once in 1984, from which they found some relics of dating from the Jomon Era to Medieval times. The findings include remnants of old buildings particularly related to archeological sea traffic. These are really valuable findings.A book, titled 'A History of Fukuyama City', was published in March 2017. In the wake of its publicatin this book, excavation work has been conducted in the remains of the Northern Beach of the island (Ujishima Kitanohama Iseki). This article reports on what has been obtained in the remains, its present state, and the tasks still left to be undertaken.