- 著者
-
八木澤 壯一
- 出版者
- 一般社団法人日本建築学会
- 雑誌
- 日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
- 巻号頁・発行日
- no.315, pp.112-121, 1982-05-30
- 被引用文献数
-
2
火葬場内での観察調査に基づき, 送葬行為を分析してきたが, 建築計画上, 特に留意すべき点をまとめると次のようになる。(1)霊柩車を先頭に葬列は車で到着する。会葬者の集団は増加の傾向にあり, 集中する時間帯が各火葬場毎に一定している。同時に車を降りるため, 特に雨天などに対する配慮が必要である。(2)告別の形式は, 各火葬場毎に一定の様式をもつ。遺体との最終的な別れの場であることから, 他の会葬者集団に気を使うことがないよう留意すべきである。したがって火葬炉を1列に数多く並べる配置は避けたい。告別と炉前を組合せた個室化も検討すべきである。(3)骨あげのために居残る人数も, 施設の改善に伴って増加の傾向がみられる。待合は集団ごとが心静かに過せる内部及び外部の環境が求められる。(4)骨あげは日本の火葬の特色の一つである。遺骨との再会の場として位置づけるべきである。会葬者が他に気兼ねなく充分に骨あげできる空間を確保すべきである。(5)火葬炉室, 機械室は職員の労働環境を重視し, 清潔で明るく静かであることが求められる。