著者
石川 真志 八田 博志 笠野 英行 小笠原 永久 山田 浩之 宇都宮 真
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は赤外線サーモグラフィを用いた大型の構造物の効率的な非破壊検査手法の開発を目標として検討を行った。実験の結果、アクティブサーモグラフィ検査時の加熱方法としてレーザー走査加熱を利用することで、10 m遠方に位置する対象物であっても内部の欠陥検出が可能であることが確認された。また、温度データへのフーリエ変換により得られる位相画像を利用することで、欠陥検出が容易となること、および高周波数の位相画像に注目して検査を行うことで検査時間の短縮が可能であることも確認された。これらの技術を組み合わせることで、高効率かつ高精度な検査の実現が期待される。
著者
八田 博志 向後 保雄 棚次 亘弘 大鍋 寿一 水谷 智昭 川田 宏之 重村 卓
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.1-26, 1996-03
被引用文献数
2

ATREX用のタービンディスクには,航空機のものに較べてより高温とより高速回転が負荷される。本報告では,高温強度に優れ,軽量・低熱膨張係数を併せ持つ炭素繊維強化/炭素マトリックス(C/C)複合材料のATREX用のタービンディスク適用を検討した。 C/C複合材料を動的負荷がかかる一次構造物へ適用した例は殆ど報告されていない。そこで本論文の前半では,タービンディスクの開発を念頭に,関連すると推定されるC/C複合材料の基礎特性を示し,適用に際してのC/C複合材料の長所と短所を明らかにした。 C/C複合材料の利点は上記の他に,高面内靭性及び疲労負荷や集中応力に対する不敏感性が挙げられ,タービンディスクヘの適用に当たり問題になるのは,低層間強度・靭性及び耐環境性(耐酸化性を含む)であることを指摘した。前者に対する対策は三次元強化の採用が,後者に対してはSiCコーティング及び部分的な耐環境性セラミックスの適用が不可欠である。後半では,負荷荷重とC/C複合材料の特性の比較検討の結果たどり着いた二種類の候補構造,即ち一体構造と三分割構造を比較検討した。肉厚円盤から切削加工で製造される一体構造は成形上有利であるが,強化繊維の最適化が困難である。特に激しい捻れがあるファンブレード部の強化が最大の課題である。一方,ファンディスク,ファンブレード,及びタービンリングを接合する三分割構造は,強化繊維の最適化は比較的容易であるが,接合部強度と接合部の空隙や滑りなどから生じる不安定振動を如何に抑制するかが課題である。両モデルを比較すると現段階ではより高速回転が期待できる三分割構造が有望と言えよう。