- 著者
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渡辺 也恭
八谷 絢
西脇 亜也
- 出版者
- 日本草地学会
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.6, pp.611-615, 2004 (Released:2011-12-19)
放牧利用人工草地に侵入するハルガヤおよびミノボロスゲの出現と、腐植土層の厚さ、土壌硬度、傾斜角度、土壌水分含量および土壌pHとの関係を判別分析により解析した。また、その被度と土壌pH、土壌全窒素濃度(土壌N)および土壌可給態リン酸濃度(土壌P)との相関分析を行った。ハルガヤの出現は土壌水分含量および傾斜角度と正の、土壌硬度と負の関係にあった。また、その被度が高い地点ほど土壌Nと土壌Pが小さかった。一方、ミノボロスゲの出現は腐植土層の厚さと正の、土壌pHと負の関係にあった。その被度が高い地点ほど土壌pHが低かった。ハルガヤは乾燥ストレスに弱いものの急傾斜地などの低養分条件下で優占が起こりやすいと推察され、その防除には施肥により牧草の競争力を高めることが重要と考えられた。また、ミノボロスゲは富栄養条件下を好み酸性ストレス耐性を持つといえ、その防除のためには土壌酸性の矯正が有効と判断された。