著者
北原 加奈之 栗原 竜也 田中 広紀 柏原 由佳 縄田 修一 杉田 栄樹 内倉 健 佐々木 忠徳
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.2019-002, 2019 (Released:2019-09-19)
参考文献数
15

本邦では標準化された卒後臨床教育プログラムはなく評価方法も確立されていない.そこで,我々は薬剤師レジデントを対象として,英国で開発された臨床能力の評価方法の1つであるCase-based discussion(CbD)を実施し,成長過程を可視化し得るかを検証した.CbDは「薬物治療の必要性評価」等の5項目で評価した.薬剤師レジデント78名と,専門・認定薬剤師(Board certified pharmacists; BCP)5名を対象とした.CbDを実施した結果,5項目すべてのCbDスコアが病棟の経験と共に増加し,4項目が統計学的に有意であった.BCPのCbDスコアは,全項目で最高点の6であった.以上より,CbDは,本邦においても臨床能力の成長プロセスを可視化し,若手薬剤師の教育ツールとして臨床能力の評価に応用できる可能性が示された.今後,多施設を含めた更なる検討が必要である.
著者
松倉 大樹 奥山 みなみ 内倉 健造 山田 未知 片桐 成二 森好 政晴
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-9, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】豚の精漿には,子宮や精子の機能調節作用を持つ様々な蛋白質が含まれている。その機能を解析するためには蛋白質組成を知る必要があるが,品種や個体間でその蛋白質組成を比較した報告はほとんどない。そこで本研究では,異なる品種および個体から複数日に渡り精液を採取し,その蛋白質組成を調べた。【方法】精漿は大ヨークシャー種(以下W: n=2), ランドレース種(以下L: n=2)およびデュロック種(以下D: n=4)の3品種と交雑種(以下WLDD: n=1)の計9頭から用手法により採取した精液から分離した。9頭中4頭(W: n=1,D: n=2,WLDD: n=1)からは日をおき複数回(W: 4回,D: 3回, 4回,WLDD: 5回)にわたり精液を採取し精漿蛋白質組成を比較した。精漿蛋白質はSDS-PAGEにて分離し,各蛋白質の分子量および全精漿蛋白質に対する百分比を算出した。【結果】5-180kDaの範囲内では最大19本の分子量の異なるバンドが検出され,組成の約20%を180kDa以上の高分子量蛋白質が占め,約60%を19kDa以下の低分子量蛋白質群が占めていた。19本のうち全個体に共通して見られたバンドは6本であった。その推定される分子量,組成比および組成比のCV値は119.2–122.9kDa,2.3±1.0%, 43%; 96.8–101.4kDa,1.3±0.56%, 43%; 73.3–77.3kDa, 5.8±1.6%, 27%; 61.6–65.3kDa, 7.8±2.3%, 30%; 10.4–11.8kDa,34.7±4.0%, 11.6%; 8.2–9.7kDa, 18.9±3.3%, 17.3%であり(平均±SD),その組成比は個体間でばらつきがあることがわかった。残りの13バンドはその有無が品種で共通のものではなく個体による差が認められた(1–3個体に共通:5本,4–6個体に共通:4本,7–8個体に共通:4本)。採精日間においては,CV値が50%以上のバンドが,Dの1個体で1本(34.0–37.0kDa),Wで1本(61.6–65.3kDa),WLDDで1本(34.0–37.0kDa)あり,CV値はそれぞれ,53%,51%, 56%となった。以上より,個体および採精日によって精漿蛋白質組成比に違いが認められたため,今後はさらに個体数および採精回数を増やして検討する予定である。