著者
北原 加奈之 栗原 竜也 田中 広紀 柏原 由佳 縄田 修一 杉田 栄樹 内倉 健 佐々木 忠徳
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.2019-002, 2019 (Released:2019-09-19)
参考文献数
15

本邦では標準化された卒後臨床教育プログラムはなく評価方法も確立されていない.そこで,我々は薬剤師レジデントを対象として,英国で開発された臨床能力の評価方法の1つであるCase-based discussion(CbD)を実施し,成長過程を可視化し得るかを検証した.CbDは「薬物治療の必要性評価」等の5項目で評価した.薬剤師レジデント78名と,専門・認定薬剤師(Board certified pharmacists; BCP)5名を対象とした.CbDを実施した結果,5項目すべてのCbDスコアが病棟の経験と共に増加し,4項目が統計学的に有意であった.BCPのCbDスコアは,全項目で最高点の6であった.以上より,CbDは,本邦においても臨床能力の成長プロセスを可視化し,若手薬剤師の教育ツールとして臨床能力の評価に応用できる可能性が示された.今後,多施設を含めた更なる検討が必要である.
著者
向後 麻里 斉藤 有深 柏原 由佳 小市 佳代子 市川 幾重 堀地 直也 今井 俊道 足立 満 村山 純一郎 木内 祐二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.973-981, 2004-12-01
被引用文献数
1 2

日本における肺癌罹患者数は増加傾向にあり, 男性では悪性腫瘍の中で死亡原因の1位となっている. 非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer:NSCLC)は早期診断, 早期切除が原則となってくるが, 進行性肺癌や小細胞肺癌(small-cell lung cancer:SCLC)に対しては外科的切除の適応は少なく, 強力な化学療法や放射線療法が実施されるものの, 5年生存率は1%未満である. 近年, 肺癌の化学療法は, cisplatin(CDDP)と他剤との併用療法が主流でありSCLCではetoposide(VP-16), irinotecan hydrochloride(CPT-11), NSCLCではvinorelbin tartarate(VNR), gemcitabin hydrochloride(GEM)などと併用されている. こうした併用化学療法を安全かつ効率的に実施するためのクリニカル, パス(パス)を用いることは有用と考えられるが, 国内ではいまだ十分には活用されていない. パスとは, 病棟でのチーム医療の「質」と「効率」を同時に保障するために考え出されたマネージメントツールであり, パス導入により, 医療の標準化, チーム医療の推進, 情報の共有などの効果が期待される.