著者
内村 公大 鹿野 和彦 大木 公彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.Supplement, pp.S127-S153, 2014-08-31 (Released:2014-12-26)
参考文献数
114
被引用文献数
6

鹿児島湾沿岸は現在もリフティングを続ける地域であるが,湾奥にあってマグマが集積して隆起している姶良カルデラ縁や,開析が進んだ姶良や国分の谷などで,リフトを充てんする火砕流堆積物と湖沼成堆積物,内湾~浅海堆積物が観察できる.このサクセッションは,鹿児島リフトのリフティングと火山活動,そして海水準変動とが連関したプロセスの中で形成されたもので,複雑な火山堆積システムをなしているように見える.いまだ未解明な点が多々あるが,島弧内リフトの火山堆積システムを紐解くひとつの事例として観察すると,思わぬことが見えてくる可能性がある.
著者
内村 公大 大木 公彦 古澤 明
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.95-112, 2007-03-15
被引用文献数
1 2

鹿児島県八重山地域の地質層序を明らかにするために詳細な地質調査を行い,点在する鮮新統湖成層(郡山層)の対比を試みた.その結果,この地域に12の地層単元が識別され,郡山層は下位より厚地泥岩部層,峠砂岩部層,湯屋泥岩部層,花尾凝灰角礫岩部層に分けられた.また,郡山層堆積時に貫入した安山岩類(茄子田安山岩類)が識別され,湯屋泥岩部層中に2枚の火砕流(草木段火砕流・宮脇火砕流)が認められた.宮脇火砕流からは2.5Ma前後のK-Ar年代測定値が得られた.一方,八重山地域に分布する郡山層の珪藻化石群集として,湯屋泥岩部層最下部からStephanodiscus astraea群集,湯屋泥岩部層下部ではCyclotella michiganiana群集,宮脇火砕流を挟在する湯屋泥岩部層上部ではAulacoseira ambigua群集が認められた.火砕流と珪藻化石群集の対比から八重山地域に点在する郡山層はほぼ同時代に堆積した湖成層であることが明らかになった.