著者
内村 浩二 勝田 雅人 三浦 伸之
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.103, pp.51-60, 2007

(1) 茶葉中無機元素含量は,一心三葉の分析ではMg,BaおよびCu含量に,荒茶の分析ではBaに品種間差が認められた。<BR>(2)荒茶中の12元素(K,Ca,Mg,Al,B,Ba,Cu,Fe,Mn,Ni,Sr,Zn)を用いた主成分分析結果から,第1主成分で因子負荷量が高い値を示したBa,Ca,Srはシラスとそれ以外の土壌を,第2主成分で因子負荷量が高い値を示したAlとMnは火山灰と安山岩あるいは花崗岩を概ね分類する傾向にあった。<BR>(3) 判別分析の結果,土壌の母材ごとの4群の産地判別には,Ba,Mn,K,B,Sr,Znの6元素が有効であった。得られた判別式の信頼性をモデルに用いなかった26点の荒茶試料で検定した結果,73%の判別適中率であった。<BR>(4) 火山灰とその他の土壌の2群の産地判別には,Mn,Ba,K,Ni,Znの5元素が有効で,その判別適中率は80%であった。
著者
松元 順 金 桂花 堀口 泰久 内村 浩二 江頭 和彦
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.719-724, 2002-12-05
被引用文献数
7

鹿児島県大隅半島に位置する火山灰由来の茶園土壌を試料として,土壌の酸性化と養分保持力の関係を検討した.その結果:1)土壌の全炭素含量は茶園の樹齢及び窒素肥沃度及びCEC(pH7.0)とは正の相関を示す;2)一方,CEC(圃場pH)は9〜17mol_c kg^-1の範囲にあり,CEC(pH7.0)の19〜61%に相当する;3)CEC(pH7.0)の増加分は有機物由来と推察されるが,土壌pHの低下によりCEC(圃場pH)は相殺的に減少する;4)酸性化した土壌ほど水溶性塩基含量が高く,降水等により下層へ溶脱しやすい状態にある;5)強酸性化したクロボクでは,アンモニウム保持能が著しく消失するため,pH4.5までの酸度矯正によりアンモニウム保持能を回復する必要があることが明らかとなった.本研究で得られた成果は,今後の火山灰由来茶園土壌の長期にわたる肥培管理,土壌管理を考える上で重要な示唆を与える.