著者
内橋 貴之
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.20-30, 2018 (Released:2018-03-23)
参考文献数
22

最近の高速原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy: AFM)の進展によって, 生理溶液中でのタンパク質の構造とその時間発展,分子の離散集合などダイナミクスをリアルタイムで可視化できるようになってきた. これまで様々な計測手法による実験事実の積み重ねから推定されてきた事実を動画として提示することで, タンパク質の動的振る舞いを介した機能発現の分子機構を直接的かつ直感的に把握できるようになった. 動画は静止画に比べて極めて多くの情報を与えるが, 一方で, 単に動画鑑賞に終わることなく, そこから有益な情報を客観的な指標を基に抽出すること, すなわち動画解析が次のステップには重要である. 本稿では, これまで高速AFMで観察されてきた代表的なタンパク質の動的現象をi)一分子の構造変化, ii)分子の直進運動と速度解析, iii)二分子間の結合と解離, の3つに大別し, それぞれについて筆者らの実験結果をデータの解釈と解析の効率化のために開発した画像解析法とともに解説する.
著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 福森 義宏 福間 剛士 古寺 哲幸 紺野 宏記 ウオング リチャード 村上 聡 小椋 光 豊島 陽子 神取 秀樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

三つの課題に取り組んだ。課題1では、既に確立した高速AFMを利用して多様な蛋白質系で起こる動的プロセスを観察し、機能メカニズムに迫るとともに、従来技術では困難な天然変性蛋白質の構造解析が高速AFMで可能であることを実証した。課題2では、振動を起こさずに広域を高速走査する技術やイメージング中に試料を操作可能なインターラクティブ高速AFMを開発し、その有効性を実証した。また、カンチレバー走査方式の高速AFMと蛍光顕微鏡との複合機を開発し、蛍光像と高速AFM像の同時取得を実現した。課題3では、非接触観察可能な走査型イオン伝導顕微鏡の高速化に向け要素技術を開発し、約100倍の高速化に成功した。
著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 渡辺 琢夫
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

分子・細胞で起こるダイナミックな現象を高解像で直接可視化できる高速原子間力顕微鏡を世界に先駆けて完成させた。その結果、いくつかの機能中のタンパク質分子の動的構造変化や動的分子プロセス、生きた細胞で起こる動的現象を撮影することに成功し、この新規顕微鏡の有効性、革新性を実証した。