著者
内田 壱成 福塚 咲良 矢野 朋美 吉村 耕一
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.179-184, 2021 (Released:2022-01-14)

自律感覚絶頂反応(ASMR)は、視覚や聴覚への刺激によって頭や首の後ろ、時には別の場所で生じるチクチクする感覚であると報告されている。本研究の目的は、ASMR動画が人の脳活動と気分状態にどのような影響を及ぼすかを検討することである。まず、60人の健常な学生を対象として、6つの動画視聴後のASMR感覚の程度を調査した。その結果から、ASMR感覚を強く誘導する2つの動画を選び、6人の健常な学生を対象として、その動画が脳活動と気分状態に及ぼす影響を脳波とPOMS質問紙を用いて検討した。その結果、POMSの活気レベルはASMR動画の視聴後に低下した。脳波から算出されたリラックスと眠気のレベルは低下し、一方で緊張のレベルは増加した。これらの結果から、動画視聴により誘導されるASMR感覚は脳活動と気分状態に一定の影響を及ぼすことが示唆された。