著者
内田 奈芳美 敷田 麻実
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.994-1000, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
11

本研究では、「官製」ジェントリフィケーションと定義したケンタッキー州パデューカ市のアーティスト・リロケーション・プログラムを研究対象としてジェントリフィケーションの実態とそのジレンマを分析するため、分析軸1:不動産価格の高騰、分析軸2:「文化的な消費地」化という二つの分析軸を設定し、実態を明らかにした。「官製」ジェントリフィケーションとして、本地域では新規住民・用途の流入、それにともなう不動産価格の上昇、アートという用途の集積という意味で仕掛けた側である行政としての目的は果たされていたが、消費地としての難しさと、アートをビジネスとして見た際の、認識の差などから、主体間での意見の違いが見られた。しかし、調査の結果、アート・コミュニティが、アート・ビジネスを地域で支えるほどまでには至らなかったとしても、集積のメリットを感じられる地域の魅力をつくりだしていると認識していることは明らかとなった。
著者
内田 奈芳美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.451-457, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 3

本論文では、ジェントリフィケーションのこれまでの論説に基づき、方法としての再投資と、結果としての地区への目的地文化の付加(「目的地化」)の両側面から地域変化を読み取ることで、日本型のジェントリフィケーションの実態を明らかにすることを目的とする。対象は石川県金沢市であり、ケーススタディ地区として二地区を選定した。研究方法として、まず仮説としての定義を示した後、評価軸として「再投資」と「目的地化」を挙げ、評価軸に従ってケーススタディ地区の分析を行い、仮説としての定義を検証した。ケーススタディ地区の分析から、日本型の地方都市におけるジェントリフィケーションとして、「既存の建物に再投資が起こり、地価のレベルと連動した動きを持つ再投資の規模の大小が『目的地化』の質を規定すること」であると最終的に定義した。