著者
阿部 正人 内藤 信吾 水俣 健一
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.41-48, 2013-01-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2

静脈血栓塞栓症の早期発見のため,Dダイマーのカットオフ値を設定して,新しい予防・診断体制を確立し,身体拘束を施行した入院患者を対象にその有用性を検討した。Dダイマーが基準値0.5μg/ml以上で,エコー検査または造影CT検査によって血栓の有無を評価した,延べ186例を対象にROC解析を行った。感度,特異度などを考慮し,3.0μg/mlをカットオフ値とした。新しい体制では,Dダイマーが基準値以上でカットオフ値未満の場合は,エコー検査または造影CT検査をルーチンに行わず,SpO2測定を頻回に行い,3%以上の低下を認めた場合に,肺動脈血栓塞栓を疑い胸部および下肢造影CT 検査を検討することとした。2010年9月から2012年3月までに入院した,延べ38例の身体拘束患者において,カットオフ値未満で静脈血栓塞栓症の発症はなかった。静脈血栓塞栓症の診断に対し,Dダイマーのカットオフ値を設定することで,より効率的に診断することが可能となった。
著者
木口 智美 石原 由香 多田 由紀 古庄 律 内藤 信 日田 安寿美 川野 因
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.415-422, 2012 (Released:2012-05-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1

学校給食は食育を行う場として重要な役割を担っているが、残食の要因についての報告は少ない。給食の喫食時間の短さは残食率の高さと関連すると考えられるが、実際に給食の喫食時間と残食の関連を検討した研究は見られないため、その関連性を検討した。自校給食の小学校で、全25 学級を対象とした22 日間の残食量および給食の喫食時間の測定、児童844 名を対象としたアンケートを行った。その結果、対象校の残食率の平均値は4 . 3± 3 . 7% であった。給食の喫食時間(片付け時間も含む)は、残食率との間には有意な正の相関を示し、アンケートで給食をいつも全部食べると回答した児童の割合との間には、有意な負の相関を示した。一方で、給食を残すと回答した児童は、給食時間が短いと感じている割合が給食をいつも食べる児童より有意に多かった。したがって、給食を全部食べる児童は食べる速さが速く、そのような児童が多い学級は喫食時間が短くなると考えられた。しかしながら、給食を残す児童にとっては、喫食時間の短さが残食の一因となっていることが示唆された。