著者
市川 有二郎 中田 利明 井上 智博 行方 真優 本田 恵理 石井 栄勇 飯村 晃 藤村 葉子 内藤 季和 田中 勉 高橋 良彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.221-235, 2016-05-15 (Released:2016-05-13)
参考文献数
23

手賀沼を流末とする柏市内の調整池の水中ならびに底泥中における放射性セシウムの分布状況と環境動態を検証した。福島第一原子力発電所事故から約4年が経過した時期の底泥から10 kBq/kg以上の放射性セシウムが検出され,調整池は下流域に対する放射性セシウムの供給源の1つであることが裏付けられた。台風などの豪雨時において,水中放射性セシウムの懸濁態の存在割合が平水時と比較して上昇することから,豪雨は放射性セシウムの下流域への流出に関与していることが示唆された。
著者
井上 智博 市川 有二郎 内藤 季和 高橋 良彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.481-488, 2014-10-15 (Released:2014-10-29)
参考文献数
9

本調査は,千葉県立柏の葉公園内の野球場の芝地において,線量率と芝・土壌中放射性セシウム濃度の経時変化について解析した。採取した芝と土壌を別々に分離して放射性セシウム濃度を定量した結果,全ての調査期間においてサッチ層(芝の根部周辺に位置する芝の刈りかすや枯れた芝の堆積物)に,その下に位置する土壌よりも放射性セシウムがより多く蓄積していることが確認された。芝の深刈りを地表面から20mm深さで均一に行い,サッチ層を取り除いたことで除染効果が得られた。
著者
市川 有二郎 井上 智博 内藤 季和 田中 勉 高橋 良彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.521-533, 2015-08-15 (Released:2015-08-28)
参考文献数
38
被引用文献数
1 2

降雨による土壌中の放射性セシウムの移行状況を確認するために,2013年度の梅雨期前後と台風後の千葉県柏市内の土壌を対象に調査した。本調査は,福島原発事故から約2~3年後に行われたが,地表面から深さ5cm以内に95%以上の放射性セシウムが含まれ,降雨による放射性セシウムの鉛直方向への浸透はほとんど進行していないことが示唆された。水平分布については,同一敷地内でも最大で2~3倍程度の差があることが確認された。本調査では,放射性セシウム濃度が明確な粒径依存性を示さなかったが,関東ロームの特異性が影響している可能性がある。
著者
市川 有二郎 井上 智博 大橋 英明 渡邉 剛久 石井 克巳 内藤 季和
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.152-165, 2015-05-10 (Released:2015-09-04)
参考文献数
52

2013年11月4日に千葉県市原市内の一般環境大気測定局で、PM2.5質量濃度の日平均値が「注意喚起のための暫定的な指針」で定める70 μg/m3を超過する可能性があったため、全県を対象に千葉県として初めて注意喚起を行った。なお当該注意喚起は、東日本でも初めての注意喚起となったことから、全国的に注目を集めた。本報では常時監視項目の観測結果、PM2.5成分分析の測定結果および気象状況の解析結果から高濃度となった要因について解析を行った。11月3日から大気環境は酸化雰囲気であったことから、NH4NO3の高濃度化に繋がったと考えられる。さらにレボグルコサン、水溶性有機炭素、Char-ECの測定結果から、バイオマス燃焼も大きく影響していたことがわかった。また、無機元素の測定結果からは、注意喚起日のV、Niの濃度が相対的に高い結果であったことから、重油燃焼による寄与も示唆された。気象状況については11月3日夜に確認された気温逆転層によって、大気汚染質が拡散されにくかったことおよび湿度の影響によるPM2.5質量濃度の上昇に加え、風の収束域により濃縮された汚染気塊が市原市内に移流したと推測された。以上のように、バイオマス燃焼、重油燃焼の人為起源による影響に加えてNH4NO3の高濃度化がPM2.5質量濃度の上昇に寄与したと考えられた。これらの影響を含んだ汚染気塊が拡散されず局所的に収束する気象条件も相重なったことが、11月4日の注意喚起に至った要因であると推定された。
著者
市川 有二郎 井上 智博 内藤 季和 田中 勉 高橋 良彦
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.521-533, 2015
被引用文献数
2

降雨による土壌中の放射性セシウムの移行状況を確認するために,2013年度の梅雨期前後と台風後の千葉県柏市内の土壌を対象に調査した。本調査は,福島原発事故から約2~3年後に行われたが,地表面から深さ5cm以内に95%以上の放射性セシウムが含まれ,降雨による放射性セシウムの鉛直方向への浸透はほとんど進行していないことが示唆された。水平分布については,同一敷地内でも最大で2~3倍程度の差があることが確認された。本調査では,放射性セシウム濃度が明確な粒径依存性を示さなかったが,関東ロームの特異性が影響している可能性がある。