著者
市川 有二郎 中田 利明 井上 智博 行方 真優 本田 恵理 石井 栄勇 飯村 晃 藤村 葉子 内藤 季和 田中 勉 高橋 良彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.221-235, 2016-05-15 (Released:2016-05-13)
参考文献数
23

手賀沼を流末とする柏市内の調整池の水中ならびに底泥中における放射性セシウムの分布状況と環境動態を検証した。福島第一原子力発電所事故から約4年が経過した時期の底泥から10 kBq/kg以上の放射性セシウムが検出され,調整池は下流域に対する放射性セシウムの供給源の1つであることが裏付けられた。台風などの豪雨時において,水中放射性セシウムの懸濁態の存在割合が平水時と比較して上昇することから,豪雨は放射性セシウムの下流域への流出に関与していることが示唆された。
著者
立本 英機 天野 佳正 町田 基 相川 正美 藤村 葉子 Dennis GEORGE Sharon BERK 瀧 和夫
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.357-364, 2007-05-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本研究では, 湖沼の底泥から溶出する栄養塩濃度を加圧浮上分離 (DAF), MgO散布およびこれらを併用したハイブリッド処理によって抑制することで湖水のTN/TP比制御を試みた. 各底泥処理によるアオコの抑制効果を, TN/TP比とアオコの増殖量を表わすモデルによって検証し, 底泥処理実験の妥当性について検討した. その結果, DAF処理は窒素に対して抑制効果が高く湖水のTN/TP比を減少, MgO散布処理はリンの抑制に対して効果がありTN/TP比を増加, また, DAF処理とMgO散布処理を併用したハイブリッド処理は底泥から溶出する窒素およびリンの濃度を高い割合で抑制でき, 特にリンの抑制が顕著であることからTN/TP比を増加させる効果があることが示された. 各底泥処理を施したときのTN/TP比とアオコの増殖量の関係は, 既存のモデルと高い整合性を示した. 各底泥処理によって湖水のTN/TP比を制御することができるとともに, Chl.a濃度を高い割合で抑制できることがわかった. このことから, 各底泥処理方法は, 湖水のTN/TP比を制御できるという観点から湖沼の富栄養化対策の一手法として期待できる.