著者
横関 耕一 横山 薫 冨永 知徳 三木 千壽
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00248, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
24

実働交通荷重下で生じる最も疲労に厳しい条件下での各種鋼床版の疲労耐久性を明らかにし,比較することを目的とし,FEAを用いて試験条件を検討したうえで定点載荷疲労試験を実施した.疲労試験の荷重位置は縦リブと横リブとの交差部に大きなホットスポット応力を発生させる位置とし,試験荷重範囲は実働交通荷重下でのホットスポット応力範囲を再現できるように割り増した.試験結果から,縦リブと横リブとの交差部で横リブにスリットを設けない交差部は疲労耐久性が高く,特に縦リブに平リブを用いた構造は,設計荷重の1.0×107回載荷以上に相当する疲労耐久性が得られることがわかった.
著者
上坂 健一郎 時田 英夫 森 猛 内田 大介 島貫 広志 冨永 知徳 増井 隆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.121-131, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
19

首都高速道路は50年以上に渡り重交通下で供用されており,鋼I桁橋の横構ガセットプレートまわし溶接部に多くの疲労き裂が発生している.それらのほとんどは止端に留まっており,バーグラインダで切削除去することで補修を行っている.UITはこれまで止端から発生する疲労き裂の予防保全対策として用いられており,施工が容易で高度な技能を必要としない.本研究では,鋼I桁橋の横構ガセットプレートを想定し,止端から発生した疲労き裂に対するUITの補修効果についてモデル試験体の疲労試験を行うことにより検討した.そして,作用する応力範囲が65N/mm2以下であれば,止端に留まるき裂に対して打撃痕の深さが0.23mm以上となるようにUITを施工することで,疲労寿命は溶接ままの継手の2倍以上になるという結果を得た.
著者
三木 千壽 冨永 知徳 柳沼 安俊 下里 哲弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.759, pp.69-77, 2004
被引用文献数
1

鋼製橋脚の隅角部に発見された疲労き裂について溶接補修を行ったところ, 鋼材の内部に割れが発生した. この割れについて直接観察, 板厚方向引張試験および材質面からの調査を行うことによって, 古くて板厚方向特性の良くない鋼材に起因したラメラティアであると判定した. 同時に, 主に文献調査を行うことによって, 1973年以前に建設した鋼製橋脚についてはラメラティア発生の可能性を検討すべきと判断した. 特に鋼材成分中の硫黄 (S) の量が0.01%以上, 板厚方向引張試験での絞り値 (φz) が15%以下の場合は, 補修に溶接を用いる場合は特別な検討が必要である. その検討手法に関する案を示した.